院長ブログ

レンズ交換の時期と合併症

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が2人(50歳女性、60歳女性)でした。手術の申し込みは、白内障8人、眼瞼下垂2人、硝子体手術1人でした。

先週の手術学会では『眼内レンズ交換の時期と術中所見・術中術後合併症』について発表を行いました。

開院後の20196月から20227月までに当院で行った眼内レンズ交換は55眼で、この55眼を前回手術から眼内レンズ交換の時期によって、早期群(1ヶ月未満)7眼、中期群(14ヶ月未満)27眼、長期群(4ヶ月以降)21眼に分けて、手術の時の大変さや合併症がどうだったかのデータを出しました。

早期群は癒着が少ないので、レンズを外すのは容易でしたが、1眼でレンズを切断するときに後嚢が裂けてしましました(後嚢破損)。

中期群では、レンズの癒着が強くなり、1眼でレンズの脚の部分を切断して取り出さないとならず、2眼で後嚢破損が起こりました。この後嚢破損はレンズの剥離を行うのに粘弾性物質というゼリーのような薬を入れた時とレンズを入れる時に起こりました。

長期群では更に癒着が強くなり、3眼で支持部の切断を要しましたが、後嚢破損などの合併症はゼロでした。

まとめると、前回手術からの期間が短い方が、レンズの癒着は少なくレンズを外す操作は容易ですが、合併症については必ずしも早い方が安全という訳ではなく、若干特殊な術中の操作は必要になるものの、術後時間が経っていても十分レンズ交換はできると思われるという結果でした。

今回は眼内レンズ交換の手術時期の安全性のようなところをみてみましたが、今後はもっと術後の視力、症状の改善具合、満足度など結果についてまとめてみたいと思っています。眼内レンズ交換はなかなか深いテーマだと思っているので、患者さまに参考になるような役立つデータを出せるように頑張ろうと思います。

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