院長ブログ

認知症の患者さまの手術

今日は午前が外来で午後は手術で、白内障11件、眼内レンズ交換1件、霰粒腫3人(3歳女の子、16歳女の子、46歳女性)でした。

今日の手術はもう一人、80代女性の眼瞼下垂の手術が予定でしたが、中止となってしまいました。

去年の秋に見えにくさを主訴に受診され、眼瞼下垂と白内障があり、まず眼瞼下垂の手術を予定し、先々週に術前の説明でご来院された時は、しっかり自分の足で歩いていましたし、手術のことも承知してお帰りになりました。しかし、手術当日の今日は、ご自分では歩くことができず、車イスで来院され、『もう帰る』と手術のことも分からなくなってしまっている様子で、どうも短期間で認知症が進んでしまったようでした。

旦那さまは『せっかく手術を何ヶ月も待ったのだし、あれだけ見えないと困っていたのであからなんとか手術をして欲しい』とおっしゃっていましたが、今回は申し訳なかったですが、手術は中止とさせていただきました。認知症の患者さまの治療は医師間でも考え方の差が出る部分ではあると思いますが、僕は、認知症があっても本人にとってプラスが得られる見込みがあるのであれば、可能な範囲での治療(手術)はしてあげた方がよいと個人的には考えています。例えば、白内障でも眼瞼下垂でもそれらによって、見えにくさや不自由さが出ていて、治すことで本人が少しでもよく見えると見込めれば、手術したいと思っていますし、そういう治療をすることで、認知症が改善した患者さまも何人かいらっやったので、意味のあることだと思っています。

しかし、今回は急に歩けなくなって認知症が進んでしまったようなので、圧迫骨折などなんらかの、おそらく整形外科的な疾患が悪化したと思われたので、まず、そちらの治療を優先すべきだと思われ、今、まぶたの手術をすることは必ずしもプラスにはならないと判断させていただきました。

旦那さまには手術まで長くお待ちいただき、今日も頑張って連れてきてくださったところ、申し訳なかったですが、ご本人さまが元気になったら、改めて眼の手術を考えたいと思っていますので、どうか、まずは整形外科の治療をしっかり受けていただければと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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