今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人、黄斑上膜の硝子体手術2人でした。
今日の手術は、白内障12件、翼状片1件、硝子体手術2件(黄斑上膜、硝子体出血)でした。
今日の外来では、40代前半の男性の方が『数日前から左眼の視野が欠ける』という症状で受診されました。比較的若い人で、視野が急に欠けるというと、まず頭に浮かぶの網膜剥離で、眼の中をみると、実際に網膜剥離はありましたが、網膜に穴があいて網膜が剥がれる”裂孔原生”網膜剥離ではなく、”漿液性“の網膜剥離で、所見からすると中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)と思われました。
裂孔原生の網膜剥離は網膜にあいた穴から眼の中の水が網膜の下に入り込み、網膜が剥がれてしまう病気ですが、網膜に穴があく時、網膜が引っ張られるので、光を見た訳でなくとも光が見えるような症状(光視症)や網膜に穴があいた後には出血や脈絡膜の色素によって飛蚊症が出ます。このような前駆症状の後に、端の方から視野が欠けてくるのが裂孔原生網膜剥離の典型的な症状のパターンです。
一方、CSCは原因は不明ですが、網膜の下の脈絡膜の弱い部分から血流の豊富な脈絡膜からの血漿成分が網膜側に漏れ出すことで、中心部の部分的な網膜剥離を起こす病気なので、症状としては、視野の中心部の見えにくさが出ることが多く、見たいところが暗く見えたり、歪んで見えたり、物が大きく見えるように感じることがあります。
裂孔原生網膜剥離では手術が必要になりますが、CSCは基本的には自然軽快することが多く、予後は良好とされています。ただ、なかなか自然によくならず遷延する場合や一旦よくなってもまた網膜の下に水が貯まってしまい再発する場合は、積極的な治療を検討した方がよく、造影検査を行い、原因の漏出部が中心から外れていれば普通のレーザー治療で対応できることもありますし、中心部に原因がある時は薬剤を点滴で注入した後に行う特殊なレーザー治療(光線力学療法;PDT)が適応となります。
今日のCSCの患者さんは、実は、僕がよく使わせていただいている料理屋さんの店主の方で、事前に連絡をいただいて今日、受診いただいたのですが、CSCが濃厚でも、裂孔原生の網膜剥離の可能性も少しだけ心配していたので、CSCでほっとしました。
CSCは原因不明ですが、働き盛りの40〜50代の人に出やすく、疲れやストレスが要因といわれているので、仕事も大変だと思いますが、治療と思って少しだけゆっくりしてくださいとお伝えしました。これからもおいしい料理を作っていけるように、きちんと治して欲しいなと思います。
今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m