今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障5人、霰粒腫2人(1歳女の子、3歳女の子)、内反症1人でした。
今日の外来では、30年前に東海地方の大学病院でアトピー性の白内障で白内障の濁りだけ取り除き、レンズが入っていない状態の眼に対し、1週間前に違う医院で『レンズを入れる手術を行おうとしたら、水晶体の袋が弱くて、レンズが入れられずに終わったけれど、手術の前より霞んで見えにくい』という50代の女性の方がいらっしゃいました。
レンズを眼の中に入れたものの、レンズが安定しないために、そのレンズを取り出して、結局、レンズの無い状態で手術を終えたそうですが、レンズの摘出は意外と角膜にダメージを与えることがあり、今日の所見では、角膜が強い炎症で皺が入り、浮腫んで濁った状態になっていました。現状でできることは、消炎の点眼をしっかり使い、炎症が引き、角膜の状態が改善するのを待つしかありませんが、数日でよくなるものではなく、よくなるとしても、週単位の時間がかかり、落ち着くのは術後1か月くらいはかかると思われました。ただ、角膜の細胞のダメージが強く不可逆的で内皮細胞が減ってしまっていると、角膜の濁りが残ってしまい、最終的に角膜移植が必要になる可能性もあるかもしれません。それは経過を見るしかありませんが、うまく角膜が落ち着いてきてくれてある程度の角膜内皮細胞が残っていてくれれば、強膜内固定でレンズを入れる手術を考えてあげるとよいかと思いました。
この患者さんのように、レンズの出し入れで角膜のダメージが出てしまうこともありますし、僕が先週、白内障の手術をした80代の男性の方は、前房がとても狭く、落屑症候群という状態で眼の組織が非常に弱い方で、同じような角膜の濁りが出てしまっています。レンズを入れる手術でも白内障の手術でも、手術を受けたら見やすくなると期待して手術を受ける方がほとんどだと思いますので、このように角膜が濁ってしまうと、霞んだ見え方で、手術を受ける前よりも見えにくくなってしまうこともあり、がっかりしてしまうと思いますが、眼の状態や手術の状況によってはどうしても起こりうることで、状況と時間をかけて経過を見ていくことをご理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。