院長ブログ

乱視矯正の限界

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障2人と硝子体出血の硝子体手術1人で、今日の手術は、白内障13件、翼状片1件、硝子体混濁の硝子体手術1件でした。

今日の外来で、先週、左眼の白内障の手術を受けていただいた60代の女性の方の経過観察で、乱視が残ったことについてのご質問をいただきました。

乱視にはレンズで矯正可能な“正乱視”と矯正できない“不正乱視”とがありますが、

正乱視については、白内障の手術で、ある程度、改善が見込まれます。

乱視矯正効果のあるレンズをトーリックレンズといいますが、乱視がある全ての人にトーリックレンズを使う訳ではありません。乱視は主に角膜と水晶体の歪みからできますが、白内障の手術では水晶体は取り除いてしまうので、問題になるのは角膜乱視です。乱視は誰でも多少はあり、トーリックレンズを使ってもなかなかゼロにはならないですし、必ずゼロにしないといけないものでもありません。

術前の角膜乱視が強い場合にトーリックレンズを使いますが、この患者さんの場合、術前の角膜乱視は1D以下でトーリックレンズは使わなくてよいかと考えましたが、術後は乱視が1.5Dと増えており、確かに乱視による見えにくさはあると思われ、なぜトーリックレンズを使わなかったのかと思う気持ちもあるかと思いました。しかし、これはあくまで結果論であり、術前の検査で角膜乱視が少ない以上、最初からトーリックレンズを使うことは考えられません。また、トーリックレンズはレンズ度数として1.25Dからで、ピッチも0.75Dとなるレンズが主ですし、乱視の軸とトーリックレンズの軸がズレると乱視矯正効果が薄れてしまいます。このように、思ったより乱視が出てしまうことがあったり、トーリックレンズを使ったからといって必ず、乱視が減るというものでもなく、乱視矯正には限界があるということはご理解いただきたいと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

 

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