今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂2人、霰粒腫4人(1歳男の子、3歳男の子、5歳女の子、36歳女性)でした。
今日の外来では先週の水曜日に黄斑浮腫で硝子体手術を受けていただいた80代の女性の方の経過観察の診察がありました。元々、左眼の網膜静脈閉塞症があり、黄斑上膜に対して6年ほど前に左眼の硝子体手術を行ったのですが、術後3か月くらいで黄斑浮腫が出てきてしまい、抗VEGF薬の硝子体注射、ステロイドのテノン下注射、レーザー治療を繰り返し行いましたが、黄斑浮腫はなかなか頑固で改善に乏しく、今回、2度目の手術をすることとなりました。
OCT検査上、黄斑部に浮腫が塊り(cyst)として存在していそうだったので、そのcystを取り除く処置を行いました。黄斑に限らず、体のどこかに嚢胞ができる病気はありますが、袋状の構造ができてしまい、そこに液体の成分が貯留してしまうため、何らかの処置で水を抜くだけだと、一時的にはよくなっても、またその袋の中に水が溜まってしまい、元に戻ってしまうので、その袋を取ってみようと思いました。黄斑浮腫に対しての、このような手術はcystectomy(システクトミー)と呼ばれ、うまくいけば、浮腫は治り視力もある程度の回復も期待できますが、あくまで黄斑の水溜まりを取る手術ですから、網膜の細胞が悪くなってしまっていれば、なかなか視力が改善するものでもありません。なので、視力をよくしたいと期待して受ける手術ではなく、抗VEGF治療をしてもすぐ浮腫が出てしまって、注射以外の方法で浮腫を起こさないようにするためであり、視力の回復はプラスαの目的になるかと思います。もともと抗VEGF治療をして黄斑浮腫が引いても視力が改善しない人は、黄斑の細胞が悪くなってしまっていると思われますので、システクトミーで浮腫が起こらなくなったとしても、視力の改善は期待できないかと思います。また、視機能に大事な黄斑部に対して操作をするので、思わぬ悪影響で視力が下がる恐れもある手術だと思います。
今回の患者さんも手術の時に空気を入れた影響もまだあるので、術前よりは視力も下がっていますが、OCT検査ではあれだけ頑固な黄斑浮腫がきれいになくなっていて、手術自体はうまくいっていると思えました。
あまり積極的には行いにくい手術で一般的にまだ広まっている方法ではないかと思いますが、注射をしても繰り返し再発してしまうような頑固な黄斑浮腫に対しては治療の選択肢の一つになりうるかと思われました。
今日も一日、お疲れ様でしたm(_ _)m










