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緑内障なのに『白内障手術』??

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緑内障で通院中の方で『眼圧をもう少し下げたい』とか『緑内障発作を防ぐために』という理由で『白内障手術をしましょう』と言われた方もいらっしゃると思います。
 
こういう話を患者さまにすると、『えっ、緑内障なのに白内障の手術するんですか!?』という反応がしばしばです。
 
眼圧は眼の中の『房水』という水の量によって決まってきます。
房水は虹彩という茶目の部分の裏側にある『毛様体』という組織で作られ、瞳孔(茶目の中央の丸く空いている部分)から『前房』という前の方のスペースに流れ、今度は、角膜と虹彩の付け根の間の『隅角』という部分から『線維柱帯』という網目構造の組織を通り、眼の外側の血管へ流れ出ていきます。
 
この房水の流れが悪くなってくると、眼圧が高くなるという仕組みです。
 
 
人によっては前房が浅く隅角が狭く、眼圧が上がりやすい方がいらっしゃいます。
隅角が狭いけれど、緑内障にはなっていない(緑内障性の視野異常がない)人を『狭隅角症』といいます。
 
正常な前房の深さの方の写真
 
前房が浅い方の写真
 
隅角が狭く眼圧が高くなり、視野の異常が出ている方を『閉塞隅角緑内障』といいます。
 
狭隅角症の方は視野の異常が出ていないから安心?かというと、実はそうでもありません。
 
これから緑内障が出てくる可能性もありますが、一番、怖いのは『急性緑内障発作』です。
 
何かの拍子に隅角が完全に閉じてしまい、房水が流れ出ることができなくなり、急に眼圧が大きく上がってしまうのが急性緑内障発作です。
何かの拍子にというのは、瞳孔が開く方向に働くことが原因になりますので、お腹の痛み止めや睡眠薬など(『抗コリン作用』という働きのある薬など)が誘因となることもあります(胃カメラや大腸のカメラで使う消化管の蠕動を抑える薬もです)し、眼科での瞳孔を開いての眼底検査の後に起こることもあります(そうならないようにあやしい方には弱い薬を使ったり、瞳孔を開く検査をしないこともあります)。また、暗くなると瞳孔は開きがちになるので、何もなくても夜に発作を起こしてしまう方もいらっしゃいます。
 
この発作で眼圧が急上昇すると出てくる眼の症状が、眼痛(眼の痛み)、充血、視力低下(角膜が濁り霞んでくる)です。
 
 急性緑内障発作の方の眼の写真
 
『眼の症状』と言ったのは、『眼以外の』症状も出ることが多いのです。
 
眼以外の症状では、悪心・嘔吐(気持ち悪くなり吐いてしまう)や頭痛があります。
頭が痛くて吐いてしまうとなると、脳の病気と思われることもあります。
実際、僕が以前、外科医時代、夜間当直をしていた時に、『昼間、気持ち悪くて受診してお腹の痛み止めをもらって飲んだら、気持ち悪くなって吐いて、頭も痛くなってしまって、、、』といらっしゃった患者さまを診たことがあります。よく見ると、片目が赤くて、目をつむり加減で、聞くと、『そういえば、目も痛いし、見えにくい』と言われ、この急性緑内障発作を疑い、大学病院の眼科にお願いしたことがありました。
 
ちょっと話が逸れましたが、この急性緑内障発作の怖いところは、目以外の症状が強い場合があり、眼科の受診が遅くなってしまうことがあるのと、眼圧がすごく上がった状態がある程度続いてしまうと、かなり強い視力障害を残してしまう(場合によっては失明してしまう)可能性があることです。
 
その危険性をなくすには、レーザー虹彩切開術か白内障手術が有効な治療となります。
 
レーザー虹彩切開術はレーザーで虹彩に小さな穴を開けて房水の流れ道を作ってあげる治療で、外来ですぐできるメリットはありますが、隅角の閉塞は完全には防げないのと、レーザーの合併症で角膜の細胞の数が減り、角膜が濁ってしまう水疱性角膜症を起こしてしまったり、レーザーの衝撃で水晶体の支えが弱くなり、白内障の手術が大変になってしまう可能性がデメリットとしてあります。
 
白内障は虹彩の裏側にある、水晶体というレンズの部分が濁ってくる状態で、手術は水晶体を取り出し、眼内レンズ(人工のレンズ)を入れる治療となります。
元々の水晶体に比べ、眼内レンズは薄くボリュームが減るので、隅角が開きやすくなり、眼圧が下がる方向に働き、緑内障発作を防げるようになる訳です。
 
狭隅角症の方は遠視が多く、お若い時は遠くも近くもよく見えたのに、年齢が進むと遠くも近くもピントが合わなくなり、メガネがないと見えなくなってしまうことが多いので、眼内レンズで遠視を矯正し、ピントが合う距離を作ると、メガネを使う頻度を減らせるメリットもあります。
 
という訳で、眼圧を下げることや緑内障発作を防ぐ目的で隅角が狭いタイプの緑内障の方に白内障手術を行います。
 
かなり長くなってしまいましたが、少しでもご参考になればと思いますm(_ _)m
 
 
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