逆さまつ毛(眼瞼内反症・睫毛内反症・睫毛乱生)
まつげが目の表面の角膜や結膜に傷を作るため、症状としては、目がごろごろする、痛みを感じる、目やにが出るなどが主なものですが、赤ちゃんのうちは、やたらと瞬きが多かったり、まぶしそうにする表情が見受けられることもあります。
睫毛内反症・眼瞼内反症の治療
先天性の睫毛内反症は、成長とともに自然に治ってしまうケースもありますが、10歳以降は改善の可能性が少ないとされています。症状が軽度であれば抗菌薬や角膜保護剤の点眼薬などで様子を見ますが、なかなか自然治癒しないとき、特に角膜が白く濁るような場合は手術の適応と考えます。
加齢性の眼瞼内反症でも軽度の場合は点眼薬による保存的治療や一時的な処置として、内反部のまつ毛を抜いてしまう方法もあります。ただし毛根は残るため、しばらくするとまた同様の症状がおこり、根本的に治すには手術が必要になります。
内反症の手術は皮膚を一部切開し、まぶたの内部を固定することでまつ毛を外板させます。
手術はしっかりと切開する方法と小さな切開で縫合固定する方法があります。手術自体は片眼でおよそ15~20分程度です。
手術は健康保険適用で費用は片眼でおよそ9000円(3割負担の場合)となります。
睫毛乱生症の治療
睫毛電気分解の新規受付は当面中止とさせていただきます。睫毛乱生は向きの悪いまつ毛を抜くことで一時的に症状の改善を得ることができます。しかし、毛根は残るため2〜3ヶ月でまたまつ毛が生え、症状が再燃することが多いです。根本的な治療としては、まつ毛の毛根を器械で焼灼する睫毛電気分解と外科的にまつ毛の生える毛根部分を切除する方法とがあります。
眼瞼けいれん
目が疲れてまぶたがぴくぴくするような症状を体験した人は少なくないでしょう。眼瞼けいれんはそれとは異なり、目の周りにある眼輪筋というまぶたを閉じる筋肉の働きが強くなり過ぎて自分の意思に反して目を閉じてしまう(目を開けていられない)病気です。軽度、中等度でもまぶしく感じたり、目あけていられなくなったりするなど、かなり日常生活に不便をきたします。症状が進むと、強い痛みを感じたり、まぶたを開けていられなくなります。
原因ははっきりとはしないものの、脳からのまぶたの開け閉めの指令が眼輪筋にうまく伝わらなくなってしまうために起こるとされています。ストレス、睡眠導入剤や安定剤などの服用などがきっかけとなっているという報告もあります。男性より女性に多く発症し、年齢層としては50歳以上で増えてきます。
根本的な治療法は確立されていませんが、対症療法として、ボツリヌス菌の毒素を利用したボトックス治療が効果的です。
片側顔面けいれん
片方の目の周りや頰、口の周りが自分の意思とは関係なくピクピク動いてしまう病気です。顔の運動を司る顔面神経の付け根を血管が圧迫することで起こるといわれています。 緊張が引き金となり症状が悪化する場合もあり、鎮静薬や抗不安薬の内服で改善する場合もあります。内服以外の治療としてはボトックス注射による治療や脳神経外科での手術(減圧術)があります。
ボトックス療法
美容医療で有名なボトックスですが、本来は眼瞼けいれんなど筋肉が痙攣する病気に対する治療法として開発されたものです。ボツリヌス菌の毒素に筋肉の働きを抑える作用があることを利用したもので、効果が高く眼瞼けいれんや片側顔面けいれんでは健康保険適用となっています。
ボトックスは即効性のものではなく、患部に注射すると、個人差はありますが数日で効果が現れ始め3~4か月はその効果が持続します。
根治療法ではありませんので、効果が薄れてきた場合、再度ボトックス注射を受けることお勧めしています。注射自体は外来で受けられる簡単なもので、ダウンタイムもありませんのでご安心ください。
ものもらい(麦粒腫・霰粒腫)
まぶたに細菌が感染し炎症を起こした状態が麦粒腫で一般に「ものもらい」といわれます。麦粒腫と似たような症状でまぶたにしこりができるのが「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」です。地方により、めばちこ、めいぼなどと言われることもあります。
麦粒腫
まぶたの周辺に細菌が感染して炎症を起こします。まぶたの外側の汗腺やまつげの毛根で感染をおこす外麦粒腫とまぶたの内側のマイボーム腺で感染をおこす内麦粒腫があります。
最初のうちはまぶたの一部分が赤くなり、かゆみや軽い痛みを感じたりします。症状が進むと徐々に赤みや腫れとともに痛みがひどくなります。さらに進むと腫れた部分が自然に破れて黄色い膿が流れ出すこともありますが、その後、症状は快方に向かいます。
原因菌、ほとんどが常在菌ですが、中でも黄色ブドウ球菌などは重症化しやすいとされています。
治療
抗菌剤と抗炎症薬の点眼を行います。症状が重いケースでは抗菌剤の内服や点滴を行うこともあります。
通常症状は1週間程度でおさまりますが、膿がたまって痛みがひどい場合などでは切開によって排膿することが必要になることもあります。
霰粒腫
マイボーム腺という脂を出す腺の出口がつまり、まぶたの中に脂が溜まり、まぶたに炎症を起こしたり、溜まった脂が分解されるときに慢性肉芽腫という肉の塊のようなしこりが作られる病気です。炎症があるとまぶたが腫れ、痛みや異物感を感じます。炎症がない場合、痛みや赤みは伴わず、まぶたを触るとコリっとしたしこりを感じます。麦粒腫(ものもらい)と区別がつきにくい場合もありますが、しこりを形成するかどうかが麦粒腫とは大きく異なります。
治療
炎症がある場合は抗菌薬と抗炎症薬の点眼で炎症を抑える治療を行います。しこりが小さい場合(肉芽がしっかり形成されていない場合)には、消炎と共に自然に治ることもあります。しかし、通常、一度できたしこりは点眼や軟膏ではよくならず、治すのであれば切開が必要になります。しこりがあるから必ず切開しなければならないものではなく、しこりが小さく目立たず気にならなければ経過観察でも問題になることは少ないです。しかし、しこりが大きく皮膚側にどんどん大きくなったり、まぶたの縁にできると破裂や瘢痕でまぶたに傷跡や二重の変形などの後遺症を残すため切開することが望ましいです。手術は局所麻酔で通常15分程度の処置になりますが、しこりが大きかったり複数箇所に存在する場合は若干時間が長くなる場合もあります。切開はしこりの位置により皮膚側もしくはまぶたの裏側(結膜側)から切開します。皮膚側からの切開の場合、傷痕がしばらく残ったり、しこりの位置によっては二重の形状に変化を及ぼすこともあります。霰粒腫は再発しやすい病気のため、また同じ部分もしくは他の部位にできることもあります。霰粒腫は小児にできやすい病気で『子どもの霰粒腫は切れない』とか『切るなら全身麻酔』と言われてしまうこともありますが、当院では鎮静剤の内服と吸入の麻酔(笑気麻酔)の併用で小さいお子さんも全身麻酔を行うことなく対応しております。霰粒腫はあれば必ず取らないといけないものではありませんし、切開による影響が出ることはありますが、しこりのできた位置や大きさによっては切開した方がよく、また治療のタイミングも重要な病気です。
霰粒腫の手術をご希望の患者さまへお願い
- 基本的には一度受診いただいて診察をした上で切開の必要性、緊急度を判断し、手術の日程を調整させていただきます。
- 予めホームページの霰粒腫の手術についての説明をお読みの上、ご受診ください。
また、霰粒腫の手術日は、基本的に木曜日の午後です。
手術後は通常、手術翌日、(翌日が祝日の場合は翌々日となります)その1週間後、その1ヶ月後に受診していただきます。
手術枠には限りがあり、ご希望に添えないこともあります。