院長ブログ

入れ換が敬遠される理由

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人と硝子体出血の硝子体手術1人でした。
今日の手術は、白内障11件(iStent併用1件)と黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日の外来では、昨年の終わり頃に眼内レンズの入れ換えを行った50代前半の女性の方の経過観察の診察がありました。元々は他院でレンティスコンフォートを入れ遠方が見えている状態でしたが、左右のバランスが悪い、光の見え方が気になる、両眼で近くが見えにくいという理由で単純な単焦点レンズへ入れ換えました。レンズは通常の単焦点レンズでまず左眼は-1.5Dを狙い、その見え方を元に、右眼を-2Dに設定し手術を行いました。手術自体はうまくいき、度数も予定通りとなりましたが、単純な単焦点レンズにしたものの、前とは違った異常光視症が出てしまい、左右の見え方の違和感を感じ、『入れ換えで左右の差をなくしたかったのに、、、』と涙を流されました。

こういうところが眼内レンズ交換の難しいところであり、レンズ交換が多くの眼科医から敬遠される理由ではないかと思います。レンズの入れ換えをしない先生も多いかと思いますが、技術的な難易度やリスクよりも、一度、うまくいかなくて(しかも、手術自体はうまくいっている)、次も手術自体はきちんとできても、本人がうまくいかなかったと泣かれるなら、お互いに手術しない方がハッピーと考えるのも分かる気がします。

よくしたいと思って受けた手術で期待通りの結果が得られなければ、僕も期待に応えられずに申し訳ないとは思います。ただ、手術というのはそういう可能性は必ずあります。僕らも悪くしようとして、手術をする医師は一人もいないでしょうし、よくしたいと思って手術をする訳です。理論上、よくなる可能性があるならば、僕は手術をすることは意味のあることだと思いますし、様々なリスクを承知いただけ、その上で患者さんが望むのであれば、僕にできる手術は、基本的に断らず引き受けようと思っています。そして、もしうまくいかなかった場合、僕らができることは、その状態から次はどうするか考えることです。眼内レンズの入れ換えの手術を受ける方は、最初の手術の結果が思わしくなく、また手術を受ける訳ですが、一度うまくいかなかった点を考慮して次はうまくいくことも多いですが、またうまくいかない場合も当然あります。これは手術に限らず、どんなことでも言えると思います。仕事だって、最初に就職した会社でうまくいかないから転職して、次の会社が今度は会う場合も、やっぱり合わない場合もあると思いますし、結婚なんかも再婚して今度はうまく続いていけることも、また残念なことになってしまうこともあるかと思います。またうまくいかなくても、前よりはよいかと思えればそのままでいいかもしれませんし、このままはしんどいと思うなら、また次にどうするかを考えるしかないかと思います。手術も2度目で完全に思い通りにならなかった時、そのままでよければそのままでよいですし、他の手段や3度目の手術は全くできませんよということでもないので、もう一度、手術にチャレンジするかよく考えたらよいと思います。どんなことでもよいことばかりや理想通りということはないかと思いますが、手術もそうで、よいこともそうでないことも色んな可能性を考えて納得して、覚悟を持って手術を受けるかどうか決めて欲しいなと思います。一度してうまくいかなくて、次にまたうまくいかないくて嘆くのは嫌だと思うなら、そのままがよいと思いますし、またうまくいかないかもしれないけれど、うまくいく可能性に賭けたいと思えるなら人はチャレンジしたらよいと思います。そう思って手術を受けることを決断してくれたなら、僕は断る理由はないので、理論上よくなる可能性があるならば、基本的には引き受けるつもりでいます。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

TOPへ