院長ブログ

出血が止まらず

今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障1人で、今日の手術は、眼瞼下垂3人、霰粒腫3人(3歳男の子、3歳女の子、6歳女の子)、睫毛電気分解2人でした。

今日は手術を終えて、帰宅した後に、眼瞼下垂の手術を受けていただいた70代の男性の患者さんのご家族から『右眼が閉じずに、左眼は出血が止まらないけど、大丈夫でしょうか?』と、お電話をいただきました。術後は眼が閉じにくいことやじわじわと出血が続くこともあり、大丈夫かと思いましたが、メールで送ってくださった写真を見ると、両眼ともまぶたがかなり腫れ、右眼は完全な兎眼になっていたのと、食後に嘔吐して気持ちが悪いのが続いているという症状もあり、出血が眼の周り(眼窩)に溜まって奥から眼球が圧迫されている状態(眼窩先端部症候群)になっている心配もあったので、夜の11時くらいになってしまいましたが、クリニックに来ていただき、診察をし、眼圧は上がっている訳でもなく、視神経に障害が出るほどの心配はなさそうでしたが、このまま置いておくのもよくないと思ったので、また手術室で処置をさせていただくことになりました。右眼のまぶたはパンパンになってしまっていたので、とりあえず傷を開けたら、血が噴き出し、まぶたの中には血の塊が大量に溜まっていました。この凝血塊を取り除くと、切れた血管から血が流れ出ていたので、焼灼止血し、傷を再度縫合しました。一応は止血できましたが、また出血し、その血液がまぶたの中にどんどん溜まってしまうとよくないので、傷の縫合の感覚は少し緩めにし、もし出血してもまぶたの中に溜まらず出てくるようにしました。左眼も傷から出血が続いていたので、こちらも右眼同様に傷を開け、出血を取り除くと、まぶたの所々からしわじわ出血していて、可及的に焼灼止血し、また傷を閉じ、再手術を終えました。結構、難渋し左右で1時間くらいかかり、手術が終わり、患者さんがお帰りになったのは深夜の1時くらいになってしまい、患者さんご自身が一番大変で申し訳なかったですが、付き添ってくださった息子さんと、夜中の処置に手伝いに来てくれたスタッフには感謝です。ありがとうございました。

眼瞼下垂の術後に出血が続くことはたまにあるのですが、正直、ここまでひどい出血は初めてでした。この患者さんはエリキュースという抗凝固薬を内服していて、止めずに手術をしたので、出血がしやすい状態でした。抗凝固薬は、念のため飲んでいるような方で、止められれば内服を中止して手術していますが、休薬が体に悪い影響を与えそうな場合は、内服を止めずに手術しています。それでも今まではこんなに出血することはなかったのですが、出血が完全に止まっていなかったのに、傷を閉じれば止まるだろうと思って、傷をしっかり閉じてしまったことがよくなく、もっと止血をすべきだったと思いました。患者さんやご家族には負担をかけて申し訳ありませんでしたが、出血が止まって少しずつ腫れが引いてくると思いますので、経過を見させていただければと思います。

手術を受けていただいた患者さんには、術後に何かあった時用に連絡先を伝えていますが、白内障よりも眼瞼下垂の患者さんの方が連絡をくださる頻度は多いです。出血が続いても、通常はガーゼを抑えていれば時期に止まり、問題ないことが多いですが、今回のようなこともありますので、心配な時は遠慮なくご連絡くださるようお願いします。

TOPへ