院長ブログ

よくなるか分からないですが

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障7人、眼瞼下垂1人、霰粒腫3人(4歳男の子、5歳女の子、53歳女性)、黄斑上膜の硝子体手術1人、眼内レンズ交換1人でした。

今日の外来では先週、アドオンレンズの手術をした70代男性の方の経過観察の診察がありました。

この方は元々、5年前に多焦点レンズを使った白内障の手術を受けており、最初はよかったようですが、ここ1年くらいで見えにくくなり、『野球のボールが二重に見えて近くまで来ないと見えない』ということで当院を受診され、遠視と乱視があり、裸眼視力は0.3しかなく、矯正すると、0.9まで改善するため、アドオンレンズの手術をさすることとなりました。

術翌日は屈折は改善されたものの、視力は0.4であまり変化がなく、ちょっと心配でしたが、術後5日目の今日裸眼視力で遠方1.2 近方0.7とだいぶ改善が見られ、ご本人の自覚もよくなっていて、経過良好でよかったです。

術後5年くらいしていてもレンズの入れ換えができることもありますが、結構大変な手術になってしまうことがあり、結果的に思ったより改善しなかったということもなくはなく、屈折の矯正目的だけであれば、アドオンレンズの方がずっと手術も簡単でこの方のように効果も得やすいので、術後しばらく経ってからの矯正にはとてもよい方法だと思います。

それから、今日、白内障手術の後の見え方の相談でいらした70代前半の男性の方は、去年の夏に都内の大学病院で白内障の手術を受け、左眼が曇ったような見え方で黄色がかって見える、ハローグレアも出るという見えにくさがあり、なんとかならないかといらっしゃいました。先に手術した右眼は超音波中に後嚢破損し、脱出硝子体を処理し、眼内レンズは3ピースタイプのレンズを嚢外固定で入れてあり、左眼は通常の手術でアイハンスが嚢内固定で入っていました。前立腺の薬を飲んでいたため術中、瞳孔が縮んでとても手術が大変だったようですが、両眼ともとてもきれいにレンズも入っていて、見た目としての経過は良好と思えました。検査所見上も多少の乱視が残りますが、屈折も悪くはなく、左眼だけ見えにくいという理由もはっきりしたものはありませんでした。なので、こうすればよくなりますよ!ということは強くは言えませんが、もしあるとすれば、左右のレンズの違いです。単純な単焦点レンズとアイハンスのようなMonofocal+レンズはコントラストやハローグレアの出方に差はないといわれていますが、焦点の幅が拡がる分、多少はくっきり見える度合いが下がったり、光がおかしく見える可能性はあるのかなと個人的には感じています。今まで、2人だけですが、アイハンスから単純な単焦点レンズへ入れ換えてよくなった患者さんを経験していますが、二人とも片眼はアイハンス、もう片眼は通常の単焦点レンズという組み合わせで、アイハンスの入った眼の見えにくさを感じての入れ換えでした。アイハンスのようなMonofocal+のレンズは通常の単焦点レンズに比べ焦点の幅が広くなるというメリットがありますが、その分、多少のマイナス面もあるのだと思います。ただ、多くの人にとっては、そのマイナス面が気にならない程度でプラス面が前面に出てくれて有益なレンズなのだと思います。しかし、見え方や光の感じ方にすごく敏感な人にとっては、そのマイナス面の方が勝ってしまうような場合も稀にあるのではないかと思っています。

この患者さんでレンズを入れ換えてよくなるかどうかは正直、分かりません。しかし、理論上、よくなる可能性はあるかと思うので、よくならないとしても、できることはしてみたいという気持ちが強ければ、入れ換えを行うことは意味がることかと思いました。この患者さんも『入れ換えしてよくならなかったとしてもできる範囲で手術して欲しい』というご希望をいただき、手術の方向とさせていただきました。

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