院長ブログ

前医からのデータ

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障7人、眼瞼下垂2人、黄斑上膜の硝子体手術1人でした。

他院で白内障の眼内レンズの入れ換えをする時には前の手術の時の検査データを取り寄せしていますが、一番重要視しているのは、眼内レンズ計算の結果です。

特に“レンズの度数がズレてしまって”レンズの入れ換えをする場合、実際、どのようなレンズ度数を選択し、どれくらいズレたのかをみることはレンズ交換を成功させるのに不可欠な情報になります。また、本人はレンズの度数がズレてしまったと感じても、実はレンズ度数の計算はズレていなくとも、そもそもの設定に患者さんと手術した先生の間で認識のズレが原因となってしまっていることもあります。

計算通りにいく眼なのか、そうでない眼なのかを確認することと、もし計算通りにいかないなら、どのようなズレ方をするのかの参考にするために、前医のデータがあった方がより入れ換えがうまくいくかと考えています。

患者さんから『前の手術のレンズ選びは間違いだったのではないですか?』と聞かれることもありますが、“結果的に”うまくいかなかったからといって、間違いということでは全くないですし、前の先生と患者さんが話し合って納得してレンズを決めて受けた手術に間違いということはないと思っています。前の先生からデータを取り寄せることを伝えると、データをくれないかもしれませんと心配される患者さんもいますが、レンズ選びの正当性を評価するためではなく、次の手術の参考にするためで、そのことはほとんどの先生はご理解くださり、基本的にはデータを下さるので、心配しなくとも大丈夫です。それでも、『もしデータがもらえないとレンズの入れ換えはできませんか?』と言われることもありますが、ないと絶対にできないものではないので、これもあまり心配しなくて大丈夫です。

もう何年も前に白内障の手術をして、通院もずっとしてなくてデータが残っていない場合や、手術を受けたクリニック自体がなくなってしまっているケースもなくはないかもしれません。そのような場合は、今あるデータでレンズを決めるしかありません。前のデータがあれば、それに越したことはないですが、無くとも全然手術がうまくいかない訳ではないですし、無いものは無いので、あるデータをフルに活かして、少しでもよい治療、手術をするしたいなと思っています。

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