院長ブログ

硝子体手術の時の後嚢切開

今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、霰粒腫1人(5歳男の子)でした。

今日、白内障の術後の相談にいらした方は、昨年の6月に右眼の黄斑円孔で白内障と硝子体の同時手術、8月に左眼の白内障の手術を他院で受け、元々、強度近視の眼を-1.5Dの軽度の近視に合わせたものの、眼鏡で遠近両用を使わないといけないのが煩わしいということで、近方に合わせたレンズに入れ換えたいといらっしゃいました。

一応、入れ換えることはできなくはないかと思いますが、硝子体術後の入れ換えで考えないといけないことは、後嚢がどうなっているかです。白内障の手術でも後嚢破損してしまっていたり、後発白内障でYAGレーザーをしていると、新たに入れ換えるレンズを水晶体嚢の中に入れられず、レンズを水晶体嚢の上に乗せる嚢外固定という方法を取らねばならないことがあり、使えるレンズの種類が限定されてしまうことがあります。硝子体手術と一緒に白内障の手術を行なっていると、周辺の硝子体を処理する際に意図せず後嚢に穴があいてしまったり、意図的に後嚢をきれいに切開してくる術者もいるかと思います。なぜ、意図的に後嚢を切開するかというと、白内障の術後には水晶体嚢の表面に残った白内障の細胞が多かれ少なかれ増殖し、後発白内障を起こすので、どうせ後でレーザー治療が必要になるのなら、あらかじめ後嚢を切開しておこうと親切心でされている先生もいらっしゃるかと思います。網膜の病気の治療であれば、まずはその病気を治すことが最優先で、眼内レンズのことや術後の見え方は重要視されない面もあるのかもしれませんが、硝子体手術の後にレンズのピントの問題で困ってしまう患者さんもいなくはないので、そのような時にレンズの入れ換えがより安全にできるように僕は硝子体手術の際には後嚢の切開は少なくとも意図的にはしないようにしています(もちろん、僕も意図せず後嚢の損傷を生じてしまうこともありますが、、、)。硝子体手術と白内障の手術を同時に受ける時は、病気によっては緊急的に行うことも珍しくはなく、レンズのことを調べたりよく考える時間もなく、よく分からないまま手術を迎えることになってしまうこともなくはないのかなと思います。レンズの決定に不安のある方は、万が一の入れ換えに備えて、もし可能なら『後嚢は残しておいてください』と執刀医の先生にお願いしておくとよいかもしれません。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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