院長ブログ

眼鏡屋に行ったら眼科を勧められ

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障8人、霰粒腫2人(4歳女の子、5歳女の子)、黄斑上膜の硝子体手術1人、眼内レンズ交換1人でした。

今日、外来受診された60代の男性の方は、眼鏡を作りに行ったら眼鏡屋で『視力が出ないから眼科に行ってください』と勧められていらっしゃいました。この“眼鏡屋に行って眼科を勧められた”というパターンで多いのは、白内障が原因のことが多いので、そのつもりで診察をしたところ、白内障は強くはなく、眼底に網膜の出血やシミ(白斑)が目立ち、既往歴を聞くと糖尿病があり、”糖尿病網膜症“(DR)で視力が出にくい状態と思われました。白内障だけであれば、手術をすれば改善が見込め単純な話なのですが、糖尿病網膜症での視力低下の治療は簡単ではありません。この方の場合、黄斑部の浮腫が視力の原因と思われ、その浮腫を引かせる注射の治療(抗VEGF薬硝子体注射)で視力は改善されると予想はされますが、網膜に白いシミ(軟性白斑)が見られ網膜の虚血状態も疑われ、その状態が改善されなければ、注射で一時的によくなってもすぐに再発してしまうため、網膜のレーザー治療(汎網膜光凝固術)が必要と思われました。眼底所見だけでも虚血の疑い濃厚ですが、それを確認するために蛍光造影眼底検査を行い、網膜の血流や悪い血管(新生血管)の有無をみる検査をまずは予定させていただきました。汎網膜光凝固術のレーザー治療は中心部以外の周りの網膜全体に合計で1500〜2000発くらいレーザーを入れますが、1回であまり多くレーザーを入れると眼に負担になってしまうこともありますし、そもそもレーザー治療が若干痛みを伴うため、1週間おきくらいずつ数回に分けて行いますので、両眼のレーザーちりょうを完了させるのに2か月くらいかかる見込みで、根気のいる治療になるかと思います。ちょっと大変ですが、放っておくと不可逆的な変化を起こして治療をしても見えないままになってしまうことも十分ある病気なので、頑張って治療を受けていただきたいと思います。

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