今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障8人、霰粒腫2人(14歳女の子、16歳男の子)でした。
今日、白内障の手術の申し込みをいただいた70代の男性の方から『白内障の手術で見えなくなってしまうことはありますか?』とご質問がありました。
多分、『白内障の手術なんかで失明することはないんでしょ!?』という確認の意味だったと思いましたが、“基本的には”安全で失明することは“まず”ない手術ですと答えさせていただきました。ただ、白内障の手術をすることで失明することも可能性としてはゼロではありません。大きな合併症の確率は何千人に1人起こるかどうかというレベルですが細菌感染の眼内炎が起こり重篤化してしまうと適切な治療を施したとしても失明してしまうこともあります。そんな大きな合併症でなくとも、角膜や虹彩の障害や損傷が起きてしまうと、失明までしなくとも見えにくさを感じてしまうこともあります。合併症というと手術が悪かったと思われがちかもしれませんが、適切な処置を行なったとしても、その患者さんの眼の構造、造りによってはシビアな手術をしなければならずに、結果的に合併症が起き、術後の視力障害が出てしまうこともあります。
とはいってもほとんど大きな問題の起こらない白内障手術は、安全が当たり前のような飛行機や電車のような交通と似ていると思っています。僕自身、乗客として飛行機でも電車でも乗る時に、安全に目的地まで送り届けてもらえると知らず知らずに当たり前のように思っていますが、それでも世界的に見れば事故が起きたり、時間の遅延や欠航、運行停止などのイレギュラーが起こることもあります。とはいっても、何も考えずに飛行機でも電車でも乗れてしまうことは、それぞれの企業の努力の賜物だと思うのでとてもありがたいことだと思います。僕らは手術の前に合併症については説明をする義務はありますが、それでも患者さんに安心してもらえ、実際に安全な手術ができるように日々、努力しなければと思います。