院長ブログ

厄介な強膜内固定

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、霰粒腫1人(34歳女性)で、今日の手術は、白内障6件、翼状片1件、強膜内固定1件、緑内障手術1件でした。

今日の手術では、60代半ばの男性の患者さんで、眼内レンズがズレてしまった“眼内レンズ偏位”に対して、眼内レンズ摘出+強膜内固定の手術がありました。古いレンズを取り出して、新たな眼内レンズを眼の壁に支えを埋め込み固定する手術なのですが、この患者さんの場合、少し厄介なことがあるかなと予測していましたが、それは、術前の診察の際に、眼内レンズの周りにゾンマーリングリング(Soemmering ring)という白い塊が見えていたからです。このゾンマーリングリングというのは、初回の白内障の手術の時に残った水晶体の細胞が術後に少しずつ増殖して眼内レンズの周りにできてしまうリング状の塊です。手術の時には、このゾンマーリングリングも取り除かねばならず、レンズを取り出すキズからうまくスルッと出てくれればよいのですが、形が崩れて部分的に硝子体中に落ちてしまうことがあり、これをカッターという器具で取り除かねばならないのですが、カッターの先の吸引の穴は小さく、カッターの歯で砕いて吸い込もうとすると、弾いてしまい、しかも、ゾンマーリングリングの細かくなった粒を網膜を傷つけないように表面から拾い上げなければならず、慎重な操作が必要となります。

今回の患者さんもレンズの取り出しと新たなレンズの固定はスムーズにできましたが、ゾンマーリングリングの一部が硝子体中落ち、これを処理するのに時間がかかってしまいました。でも、レンズはきれいに入り、ゾンマーリングリングもちゃんと取り除け、手術は無事に終わってよかったです。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

 

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