今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障5人、霰粒腫3人(6歳女の子、14歳女の子、31歳女性)、アドオンレンズ1人でした。
最近、いくつか新しく多焦点レンズを採用しましたが、昨日、HOYA社のジェメトリックプラスを初めて使用しました。単に新しければ新しいほどいいとは思わないので、新しいレンズが登場しても、それだけの理由で使うことはないのですが、昨日の患者さんで使おうと思った理由は、先週の右眼の手術はパンオプティクスを使ったのですが、『近方の見え方が弱い』ということで、左眼は遠方の見え方を落としてよければパンオプティクスを近視寄りに度数選択するか、もしくは、他の近方に強いレンズを使うというところで、遠方は遠方でなるべくしっかり見たいという希望があったため、ジェメトリックプラスを選択しました。
このジェメトリックは“プラス”と何もつかないただのジェメトリックがあります。どちらも3焦点の多焦点レンズで、遠方から近方まで見えるようにはできるレンズですが、普通のジェメトリックが遠方優位、プラスの方が近方優位の作りとなっていて、どちらかを選択して両眼に入れるのでもよいですし、左右で組み合わせる“ペアリング”という使い方も想定されたレンズ設計になっています。回折型の多焦点レンズは“加入度数”によって複数の焦点ができ、広い範囲が見えるようになっています。近方のピントの距離も加入度数によって決まってくる訳ですが、ジェメトリックとジェメトリックプラスはともに加入度数は、中間+1.75D、近方 +3.5Dと同じで、近方の焦点距離としては35〜40cmになります。何が違うかというと、光の配分が異なり、プラスの方が近方に多く光が集まる構造になっています。なので、プラスの方が近方がより見やすさはありますが、ピントの距離がより近くなる訳ではないことは注意が必要です。
今回の患者さんの右眼にはパンオプティクスが入っていますが、パンオプティクスの見え方は普通のジェメトリックに似たような見え方かと思うので、左眼にジェメトリックプラスを入れて、形としてはジェメトリックのペアリングのようになったかと思います。左眼にジェメトリックプラスを入れて、視力は遠方1.2、中間1.0、近方1.0と視力も十分改善し(近方優位といっても遠方の視力もそれほど落ちるものでもないように思います)、近方も見えるようになり術後の経過も良好でよかったです。
ジェメトリックプラスは多焦点レンズで近方重視の方にはよいレンズで、日本人、特に小柄な女性には向いているレンズだと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m










