今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人、眼瞼下垂1人、眼内レンズ偏位の硝子体手術(強膜内固定)1人、霰粒腫1人(3歳男の子)でした。
今日の手術は、白内障12件、眼内レンズ偏位の硝子体手術(強膜内固定)1件でした。
今日、眼内レンズ偏位で強膜内固定の手術の申し込みをいただいた60代半ばの男性の方は、約2年前に当院で白内障の手術を受けていただきましたが、右眼は乱視矯正のトーリックレンズが術後すぐに回転(軸ズレ)してしまい、軸修正の処置を行なった経緯がありました。軸修正を行なった後にも、またレンズが回転してなかなか乱視矯正はうまくいかないものの、レンズ自体の偏位はなく経過していましたが、ここ最近、右眼は光が下の方に伸びるような見え方をしており、レンズがズレているような気がしていたそうです。実際、右眼は眼内レンズが下方に偏位してしまってレンズの摘出と新たなレンズの挿入が必要な状況でした。
最近のトーリックレンズが大きくズレることは滅多になく、当院で軸修正の処置をした患者さんは覚えている範囲で3人いますが、このうち1回の処置で済んだのは1人だけであとの2人はまた軸が戻ってしまい、1人は何度も修正が必要となり、落ち着いた後、しばらくして眼内レンズ偏位を生じ、両眼とも強膜内固定が必要となりました。そして、その2人のうちのもう1人が今日の眼内レンズ偏位の方で、はやり強膜内固定が必要な状況となってしまいました。
眼内レンズを入れる水晶体の袋(水晶体嚢)は眼内レンズを入れるにはゆとりのある形状をしていて、水晶体嚢の支え(チン小帯)がしっかりしていれば、術後水晶体嚢が収縮する方向に働きレンズをきちんと固定できるところが、今日のトーリック眼内レンズが大きく回転してしまうような人たちは、おそらくそもそものチン小帯が本質的に弱さがあるように思います。年齢や外傷でもチン小帯は弱くなり、術前から水晶体が揺れる所見(水晶体動揺)や手術の時にチン小帯の弱さを感じることはありますが、このトーリックレンズが大きくズレる人たちはそのような所見はあまり感じることはなく、そもそも、年齢も50代から60代半ばと比較的若く、通常の単なる年齢変化とはちょっと違う気がします。たまたま僕が経験しているだけかもしれませんが、手術の後にトーリック眼内レンズが大きく回転しやすい人は、その後の眼内レンズの偏位が起こりやすい可能性が普通の方よりはあるのかなと感じます。だからといって、何か対策がある訳ではありませんが、トーリックレンズの軸修正をした人は、そういうこともあるかと思いながら過ごしていただけるとよいかと思いました。
今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m
↑以前のトーリック軸ズレの所見











