今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障1人と霰粒腫1人(3歳男の子)、眼内レンズ交換 人でした。
今日、白内障手術の相談にいらした50代半ばの女性の方は、+13〜14Dの遠視の状態の眼でした。“遠視”の人は遠くが見えることが多いのですが、単に遠方が見える目を遠視というのではなく、目に入る光が眼の壁のもっと奥の方に焦点が結ばれてしまう状態です。ぴったり網膜の表面に焦点が結ばれると遠方がよく見えるのですが、焦点が網膜の後方にできてしまうと遠方も近方もピントが合わない見え方になってしまいます。でも、遠視の人でも遠くも近くも見えているという人は多いと思いますが、それはピントを合わせる“調節力”が十分にあることで、網膜の後方に結んだ焦点を網膜表面ないし手前に移動させることで遠方ないし近方を見ることができている訳なのです。+1.5Dの遠視の人ですと、遠方を見るのに+1.5Dの調節力が必要になり、近方30cmを見るには更に約+3Dの調節力が必要で合わせて4.5Dの調節力がなければ近くが見えないことになります。若い頃は水晶体が透明で柔らかく、20歳代で10D、40歳代で4.5D、50歳代で1.5Dまで低下するとされています。なので、先ほど例に挙げた+1.5Dの人の場合、40歳のうちはなんとか近くが見えますが、50歳になると近くは見えにくくなっていまします。+3Dの人の場合は、40歳代前半でも近くが見えにくくなり、50歳代で遠方を見るための調節力も足りなくなり、近くだけでなく遠方も見えにくくなってしまうこともあります。このように、遠視の人は必ずしも遠くが見える訳ではなく、遠視の度数と年齢による調節力の低下によって、遠方も見えなくなってしまうことがある訳です。
今日、いらした強度の遠視の方は裸眼では近方も遠方も見えにくく、尚且つ、ずっと調節力を使って見ているためとても疲れやすい眼の状況ですので、遠視を改善するためにも白内障の手術はした方がよいと思われました。ただ、問題は遠視の人はレンズ度数の強いものが必要になりますが、この方は遠視が強すぎてよく見えるようにするためにちょうどよい度数のレンズがないことです。手術をして遠視が減ってどうなるかで考えようかと思いますが、足りない分はもう一枚レンズを追加するピギーバッグ法もしくはアドオンレンズの治療を考えることになるかと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m










