今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障5人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(3歳男の子)、黄斑上膜の硝子体手術1人でした。
今日の外来では先週の金曜日に左眼の白内障の手術を受けていただいた70代半ばの女性の患者さんの経過観察の受診がありました。この方は、白内障の濁りを超音波で取り除く際に、水晶体の袋(水晶体嚢)に裂け目が入ってしまう“後嚢破損”(破嚢)を起こしてしまい、その後嚢破損部から奥の硝子体が前の方に出てきてしまったため(前房内硝子体脱出)、その脱出硝子体をカッターという器具で切除し、残った白内障の柔らかい濁り(皮質)もカッターで吸引除去しました。その後に問題になるのが、眼内レンズをどう入れるかで、通常の場合、眼内レンズは水晶体嚢の中に入れますが(嚢内固定)、後嚢破損すると、嚢内固定が難しくなってしまうことがあり、その時は、虹彩と水晶体嚢前面の間(水晶体嚢の外側)にレンズを入れなければならないことがあります(嚢外固定)。嚢内固定でも嚢外固定でも度数さえ合っていれば、見え方は変わりませんが、問題となるのは、嚢外固定ではレンズの本体の部分と支えの部分が細くて素材が異なる3ピース型のレンズを使う必要があり、3ピースタイプのない多焦点レンズやトーリックレンズは使うことができないということです。
今回の患者さんも単焦点のトーリックレンズを予定していたのですが、後嚢破損部がやや大きく、嚢内固定ではレンズが不安定になり嚢外固定の方が安心かと迷いましたが、角膜乱視が強く(約3D)、ノントーリックレンズではどうしても裸眼の見えにくさが出てしまう恐れもあったので、やはりトーリックレンズを嚢内固定することとしました。結果的にトーリックレンズをきれいに入れることができましたが、術中もレンズが硝子体の奥に落ちそうになり、ちょっとヒヤッとしましたし、術後にレンズが傾いてズレてきてしまう恐れも多少はありましたが、その時はその時で必要な対応、処置をさせていただこうと思い、多少のリスクを背負ってもトーリックレンズを使って乱視をなるべく矯正した結果、レンズもきれいに収まってくれ、乱視もうまく減ってくれて、経過良好でよかったです。
今回はトラブルがあっても、その後の対応がうまくいきましたが、うまくいく時もそうでない時もどうしてもあるかと思いますし、結果的に違う選択をすればよかったと思うこともあるかもしれません。そういう時は申し訳ないですが、その時その時で少しでもよくなるように判断して最善を尽くしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。










