今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障3人でした。
今日の外来では、白内障の術後の経過観察で通ってくださっている60代前半の男性の方が『昨日から白いモヤのような物が見え、以前からあった飛蚊症も多くなった』と臨時の受診がありました。
眼底を見ると、“後部硝子体剥離”が起こっており、この“白いモヤ”も飛蚊症の一種で硝子体の濁りから出る症状でした。眼の奥の方には、“硝子体”という卵の白身のような内容物が入っており、最初は眼の中にパンパンに硝子体が入っていますが、硝子体は年齢で徐々に液化し、ある時に網膜面から硝子体の膜が剥がれ、これが硝子体剥離という状態です。これは年齢で誰にでも起こりうる生理的な変化で、この硝子体剥離が起こっただけでは大きな問題はなく、治療の対象になることはありませんが、硝子体剥離が進んでいく時に、硝子体と網膜の癒着が強い箇所に牽引がかかると網膜に穴があく“網膜裂孔”を引き起こし、この網膜の穴から網膜の下に眼の中の水が入り込んでしまうと、網膜が眼の壁から剥がれてしまう“網膜剥離”を起こしてしまうことがあり、しばらくは注意して過ごす必要があります。この注意というのも、特にじっとしていないといけないとか、目を使ってはいけないということではなく、生活自体はいつも通りで構いませんが、網膜裂孔ができると、光を見た訳でなくとも光を感じる“光視症”や黒い点が急に増えて見える飛蚊症が出ることが多く、このような症状を感じたらなるべく早めに受診することが大切です。
患者さんに『硝子体剥離という状態です』と伝えると、レーザーをしないといけないですかとか手術をしないといけませんかとか失明してしまいますかなどと質問を受けることもありますが、網膜剥離とは違いますので、この状態の時点ではあまり心配しないで大丈夫です。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m










