院長ブログ

合併症処置の費用

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障6人、霰粒腫2人(3歳女の子、4歳女の子)、ICL1人、眼内レンズ交換1人でした。

今日の外来では先週の水曜に左眼の白内障の手術を受けていただいた60代前半の男性の患者さんの診察がありましたが、診察の前に検査の方から『眼圧が高いですが、どうしますか?』と報告がありました。術後に眼圧が上がる原因はいくつかありますが、この方の場合、角膜のメインのキズ口(創口)から茶目(虹彩)の組織が出てきてしまい、眼の中の水(房水)が流れ出る線維柱帯のある角膜と虹彩の付け根の隅角という部分が虹彩で部分的に塞がってしまい、房水が流れにくくなって眼圧が上がった状態でした。手術の翌日の診察の時には問題なかったのですが、おそらく、その後、創口が開いてしまい(創口閉鎖不全)、虹彩脱出・創口嵌頓を起こししまったのだと思います。眼圧が高い状態が長く続くこともよくないのですが、虹彩が眼の外に出てしまっていると、細菌が眼に入ってしまうリスクがあり、早めの処置が必要でしたので、患者さんには今日のうちに処置をしましょうとお話をさせていただきました。ところが、処置に費用がかかることをお伝えすると、『またお金がかかるのは納得できない』と言われてしまいました。創口閉鎖不全は白内障手術の合併症の一つではありますが、合併症の治療=無料という訳ではありません。何か問題が起こった時に、クリニック側に重大な落ち度があればクリニック負担で治療を行う場合もありますが、合併症の治療も追加の費用が発生するのが保険診療の基本です。自由診療の手術では、合併症が起きても保険診療での治療はできませんので、追加手術の可能性も含んだ料金設定をせねばならず、手術費用が高額になる面があります。保険診療に関しては、単純にその手術手技に対する費用として診療報酬が設定されていますし、何か追加の治療が必要になれば、当然、その都度、費用が発生する仕組みになっています。

僕は眼科医になる前に消化器外科医をしていましたが、何かお腹の手術をした後に、感染症が起こって再手術が必要になったり、腸閉塞で管を入れる処置や手術が必要になったり、大腸カメラでポリープを取った後に出血してまたカメラが必要になったり、色々、追加の処置が必要になることはありましたが、こういう追加の処置を行う時にも治療費は発生します。癌の手術の後に再発すれば、再手術や抗がん剤治療が必要になり治療費が発生します。でも、外科医時代に患者さんから、再手術や追加治療の費用は払いたくないと言われたことは全く記憶にありません(事務方には言っている可能性はありますが、、、)。なぜか眼科では何か追加処置が必要な時に、あたかも”治療が悪かったから”再手術の費用は払わないというようにお考えの方がある一定数いらっしゃるように思います(白内障の手術などうまくいくことが前提の手術が多いからかと思いますが)。僕はブログで何度も書いていますが、医療に100%はないと思っていますし、実際そうだと思います。もちろん、うまくいくように最大限の努力はしますが、それでも必ずうまくいくとは限りません。そんな時に本意ではありませんが、どうしても追加の治療をしなければならない時は、どうかご理解いただけるとありがたいと思います。

今日の患者さんも最終的には納得いただけ、無事、虹彩を戻してキズを閉じる処置をさせていただけてよかったです。ご理解、ありがとうございました。

外来中に処置を行うことになり、患者さんを大変お待たせすることになり、申し訳ありませんでした。でも、誰からもクレームを言われることなく、ご理解くださったこと、とてもありがたく思います。本当にありがとうございましたm(_ _)m

今日も皆さん、お疲れ様でしたm(_ _)m

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