院長ブログ

残り少ない人生

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障4人、眼瞼下垂2人、硝子体手術2人(黄斑上膜)で、今日の手術は、白内障19件(iStent併用1件)でした。

今日の外来では先月、右眼の眼内レンズの入れ換えの手術を受けていただいた70歳の女性の患者さんの経過観察の受診がありました。この方は昨年の9月に多焦点のアドオンレンズを入れたものの合わずに、5か月後に抜去し、左眼の眼内レンズの入れ換えをし、今年の10月に右眼の眼内レンズの入れ換えをしていました。

右眼は左眼より少し近くに合わせたいということで多少の度数差をつけてレンズ度数を設定し、入れ換え直後は十分改善を感じられていたようでしたが、1か月ほど生活するうちに左右差が気になり、めまいやふらつきを感じるようになってしまい、『また入れ換えられるなら入れ換えたい』と思うようになったそうです。

癒着も少なそうで、前嚢切開も大きめなので、技術的には再度の入れ換えは十分可能と思いましたが、また再手術ができるかどうかの判断基準としては、患者さんが状況を理解してくれているかどうかです。再手術をするということは、最初の手術が何かしらの原因でうまくいっていない、もしくは、経過としては問題なくとも、うまくいっていないと感じている訳で、その経過や原因を単に“手術が悪かった”と言われてしまうと、手術自体がうまくいってもまた同じような結果や不満につながりかねず、再手術はしにくくなってしまいます。でも、今日の患者さんは『私が近くを見たいと言っちゃったからいけなかったのよね』と現状についてご理解くださっていました。もちろん、患者さんがそう言ったからと一方的に責任を押し付ける訳でもありませんが、どうして今の見え方、結果になっているかを正しく理解いただくことが、次の手術を少しでもうまくいかせるために大事なことです。なので、この患者さんがもしまた入れ換えたいとおっしゃっていただければ、引き受けたいと思います。

ちなみに、この方は70歳で『残り少ない人生、少しでもよく見えるようにしたい』とおっしゃっていましたが、残り少ない人生をできるなら少しでも見やすく過ごしてもらいたいと思いますし、まだ70歳で残り少ないものでもなく、むしろまだしばらく使わないといけない眼で、まだまだ長い人生、なるべくよい見え方で過ごせてもらえたらと思いますので、もう少し経過を見て考えていただき、もしまた入れ換えをご希望でしたら手術を予定させていただきたいと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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