院長ブログ

視覚障害のケア

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今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が3件(5歳男の子2人、54歳男性)でした。手術の申し込みは白内障が2人でした。

外来では黄斑変性で視力が右は0.03、左は0.3、視野も右は周辺部が一部見えるのみ、左も中心部が欠け、正常の1/4程度の80代の方がいらっしゃいました。黄斑変性は加齢黄斑変性が原因のこともありますが、元々、近視がかなり強かったそうで、網膜の菲薄化が目立つので、おそらく近視性の黄斑変性からなのかなと思いました。原因はなんであれ、活動性があるかどうかで黄斑変性の治療が必要かどうか変わりますが、この患者さまの黄斑変性は病状として落ち着いており、網膜の障害だけ残る状態だったので、黄斑変性への治療は必要はありませんでした(火事が起きた時に火が上がっている時は消火が必要ですが、鎮火した後に水をかける必要がないのと一緒です)。自体は、活動性はなく、網膜視力の低下と視野欠損から、『視覚障害』にあたります。

黄斑変性は、活動性がある場合は治療が必要ですが、網膜細胞の変性(障害)が残ってしまうと残念ながら今のところ有効な治療法がありません。
しかし、視力そのものを改善させる方法はないからといって、何もできない訳ではありません。色々な補助具を使ったりサポートを受け、その残った見る力をうまく活かすことでずっと見やすく、生活しやすくすることもできます。
この患者さまの場合、網膜の障害が強く、眩しさ(羞明)がより見にくさを助長するので、余分な光をカットする遮光眼鏡、読みたい文字が読めなくて困っているというので、文字を大きくしたり、背景と文字の色を見やすいコントラストにしたりできる拡大読書機、出掛けた時も電車の行き先が読めないのも困るというので、遠くのものを拡大させる単眼鏡などの使用をまず提案してみました。そして、こういった補助具を購入する際のサポートを受けることができるので、視覚障害の申請をお勧めしました。『視覚障害者』となることを敬遠される方もいらっしゃいますが、困った方を助けるよい制度で、適合される方は受ける権利があるので、遠慮なく申請してよいのではと思います。

僕ら眼科医は手術などの治療で見えるようにすることが大切と思いがちで、確かに治療は大事ですが、治療ができなくとも、視覚障害の方の見え方、生活をサポートする『ロービジョンケア』も手術と同じくらい、もしくはもっと大事なことだとだと僕は思っています。

↑黄斑変性、網脈絡膜萎縮の患者さまの眼底写真。

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