院長ブログ

加齢黄斑変性からの硝子体出血

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障4人と眼瞼下垂2人でした。今日の手術は、白内障17件と硝子体出血の硝子体手術1件でした。

今日の硝子体手術の患者さまは3年前に加齢黄斑変性で初診になった方で、元々、大学病院で抗VEGF薬の硝子体注射をしていて、状態が落ち着いているので、紹介になり、ずっと安定していて、硝子体注射もせずに過ごしていましたが、今年の3月頃から眼底出血の所見が見られ、検査の予定をしていたところ、その10日後には大量の硝子体出血を来たし、1か月ほど様子を見ましたが、改善の兆候がなく、今日の手術となりました。

手術では、大量の硝子体出血を取り除くと、広い範囲の眼底出血が見られました。眼底出血も網膜表面の出血だけでなく、網膜自体が隆起しており、網膜の下やその更に下の脈絡膜からの出血の存在が疑われました。硝子体手術では、眼の壁の周りを外から押しながら硝子体を切除する操作を行うのですが、その時に網膜が大きく盛り上がっている部分に裂け目ができ、そこから茶色い古い出血の塊が出てくるようになりました。通常、単なる網膜の裂け目ができた場合は、レーザーで周りを固めるのですが、出血があると、レーザーの効果が得られないので、今回は眼の中にガスを入れるところまで行い、手術を終えました。

硝子体出血で手術を受ける患者さまから『手術して出血を取れば見えるようになりますか?』と聞かれますが、それは眼底(網膜)の所見(状態)次第です。網膜の状態がよければ、出血を取れば良好な視力が期待できますが、網膜、特にその中心部である黄斑部が悪くなってしまっていると、いくら出血を取り除いても改善が乏しかったり、全く改善が感じられないこともあります。また、手術で出血を取り除いても、原因によってはまた出血だらけになってしまうこともあります。そうなると、手術する意味が無かったのでは?と感じられてしまうかもしれませんが、出血を放っておくと更に状態が悪化することもありますし、出血を取り除いて、眼の中がどうなっているかを確認できることは、その後の対策に大いに役立つことだと思います。

今回の患者さまもおそらくまた追加の手術が必要になる可能性が高いかと思われますが、なんとか状態が落ち着き、少しでも見えるようにしたいと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

TOPへ