院長ブログ

大阪桐蔭に勝った次の試合の気持ち

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障5人でした。
今日の手術は、白内障13件(アイステント併用1件)、アドオンレンズ1件、眼内レンズ交換1件でした。

今日の眼内レンズ交換は、50代半ばの女性で約1年前に他院で多焦点レンズ(FineVision toric)の白内障の手術を受けて、見えにくさが続ために単焦点レンズに入れ換える手術でした。

この患者さまの手術はいくつかのポイントがありました。まず前嚢切開(CCC)が小さく(多分、元々、小さめで、そこに前嚢の収縮が加わり)、このまま入れ換えの操作を行うと、水晶体の支えに余計な負担がかかってしまうので、CCCを拡げる必要があります。初回の白内障手術の時にCCCを拡大するのは、切れ込みを入れ、引っ張れば大きくでき、そんなに難しい操作ではないのですが、時間が経った水晶体嚢は硬くなるので、引っ張っても切れ目が進まず、ハサミを使いながら進める必要があり、なかなか簡単な操作ではないのですが、レンズを入れ換えるには小さなCCCは不利なので、頑張って拡げました。

それから、今、使われている一般的な眼内レンズはレンズの本体部分(光学部)に支え(ハプティクス)が2つついた形状をしていますが、FineVisionのハプティクスは1か所から左右に2つ広がるように計4本ついているので(安定感があって、本来はよいレンズだと思います)、癒着を剥がす操作が通常の倍くらい行わねばなりません。

そして、ある程度の角膜乱視もあるのでできればトーリック入れたいと考えていたので、ハプティクスを残さないでレンズを取り出す必要もありました。眼内レンズ交換はレンズの癒着で難しいといわれますが、基本的にはハプティクスが水晶体嚢とくっつきが強くなってしまうことが問題になります。このような時には、オプティクスからハプティクスを切り離し、オプティクスのみ取り出し、新たなレンズを入れる場合もあります。ただ、ハプティクスが残ると、新たに入れたレンズの固定位置が制限されるため、ノントーリックのレンズを使うのであれば、問題ないのですが、トーリックレンズでは残ったハプティクスが邪魔して適正な位置に入れられないので、基本的にトーリックではハプティクスを残す方法は取るべきでないと考えています。

今回の手術では、癒着が結構強く、なんとか片方のハプティクスはしっかり外し、もう片方のハプティクスも反時計回り方向のは外れましたが、時計回り方向の癒着が外れず、そこだけ切断して取り出しすることにしました。しかし、新たに入れるレンズのハプティクスは反時計回りの支えしかないため、古いレンズの支えが残っても支障がないと判断し、トーリックレンズを入れ、位置を調整し、眼の中を洗い、キズを閉じて手術を終えました。時間にして45分ほどかかってしまいましたが、なんとか前のレンズを取り出し、新たなレンズとして一番入れたかったタイプのレンズを入れることができて、本当によかったです。正直、途中でレンズが取り出せないかもということが頭を過りましたが、無事手術を終えられて、自分としてもよくやったなと思うほどで、この患者さまの手術は今日の14件目でその後、2件手術が残っていて、危うく宙に浮いたような気持ちで残りの手術に臨みそうになってしまいましたが、それではいけないと気持ちを改めて引き締め、今日の手術を無事終えることができました。

高校野球とかのトーナメントで強豪校に勝った学校が次の試合ではあっさり負けてしまう気持ちもちょっと分かった気がしました(ちょっと分かりにくい例えかもしれませんが、、、)。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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