院長ブログ

緑内障発作の症状は見えにくさよりも

今日は一日外来で、手術の申し込みは、白内障8人、霰粒腫3人(2歳女の子、4歳女の子、50歳女性)、硝子体手術1人でした。

今日、白内障の術前検査でいらした患者さまの一人は、先週の土曜日に『3、4日前から眉間のあたりが痛い、充血している』という症状でいらっしゃった80歳の女性でした。充血というと結膜炎か?と思われるかもしれませんが、この充血の原因は急性緑内障発作で、眼圧が50mmHgまで上昇し、角膜も浮腫み、視力も0.06まで低下した状態でした。視力がここまで下がると、“急に見えにくくなった”という症状の訴えが先に来そうなものですが、『見えにくくないですか?』と聞いて、やっと『確かに見えにくいです』というようなやり取りで、他の症状の方が感じやすく、問診票の症状だけ聞くと、急性緑内障発作と気づきにくい場合や、患者さまによっては、眼科の病気にもかかわらず、内科や脳外科を先に受診されることもあります。

この患者さまは、初診時にまず眼圧を下げる点滴である程度、眼圧が下がり、発作が一時的に解除できたので、点眼と内服で凌いでいただきながら、早めに明後日の水曜日に臨時で白内障手術を行う予定です。

急性緑内障発作は、元々、遠視で若い頃は遠くも近くもよく見えていた小柄な女性に多いとされ、白内障が進み出す60歳前後から起こりやすいとされています。急に眼圧が上がり、角膜が浮腫むのでかすむような見えにくさや光が虹のように見える虹視症などの異常な見え方、充血や流涙といった眼の症状に加え、頭痛、眼痛、嘔気などの全身的な症状が出るのが急性緑内障発作の特徴です。眼圧が極端に高くなった状態が数日続いてしまうと、不可逆的な視神経の障害を起こし、回復不能な視力障害を残してしまいますので、もし頭痛や嘔気があっても、見え方もおかしいと言うときは、緑内障発作を疑い、きちんと眼科を受診して欲しいなと思います。

急性緑内障発作を起こした眼の白内障手術はちょっと大変なこともありますが、水曜日の手術はなんとか眼内レンズを入れて終われるように頑張りたいと思います。

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