院長ブログ

障害者アルペンスキー体験会@湯沢

今日は昨日の手術の患者さんの診察を終えてから、新潟の越後湯沢に行ってきました。越後湯沢といえば、スキーなのですが、自分が滑ることが目的ではなく、障がい者スキーの体験会のイベントがあり、その見学に行ってきました。今までも、何度か障がい者のノルディックスキーの体験会には参加したことがあったのですが、アルペンスキー、いわゆる普通のスキーの体験会は今まで行ったことがなく、今回、視覚障害の方の参加もあると教えていただいたので、是非、見てみたいと思いました。

10時過ぎに東京駅から新幹線に乗り、お昼前に湯沢に到着し、体験会の皆さんに合流しましたが、障がい者のスキーに対する勝手なイメージで、下の方のなだらかな斜面で滑る体験をするくらいに思っていましたが、実際はリフトに乗って、上の方からゲレンデを滑るということで、急遽、僕もレンタルスキーを借りてリフト券も購入し、一緒に滑らせていただくことになりました。

今回の視覚障害の参加者の方は、網膜色素変性で完全に失明されている40代後半の男性の方で、ガイドの方がゲレンデの状態、斜面の角度や幅、平らになるまでの距離などを伝え、声や音で曲がるタイミングを教えながら、滑っていましたが、その姿を見て、本当にびっくりしました。元々、東北のお生まれで眼が見えていた頃からスキーをしていたといいう経緯と、ガイドの方の助けはありますが、それにしても全く眼が見えないのに、こんなにもきれいに滑れるのかと驚きました。周りで滑っているスキーヤーの人たちは誰一人として、この方が全盲だなんて絶対に思わなかったと思います。この方が眼が見えなくともスキーを滑るという気持ちがまず、すごいなと思いましたし、眼が見えなくともこんなに滑れることもすごいことだと思いました。何がないからできないということもなく、ちょっとの手助けと自分の気持ちと努力で何でもできないことはないんだと改めて教えてもらった気がします。

この体験会は、術後の診察があったので、実は行けないかなとちょっと諦めていたのですが、スタッフから少し早めに診察を始めれば間に合うんじゃないですか?と背中を押されて、確かに行けるなと思って行ってみましたが、行って本当によかったと思います。

僕はスキーが好きなのですが、スキーをしない人は別にスキーなんかしなくていいじゃないかと思う人ももちろんいると思いますが、スキーで滑るスピード感や爽快感はなんとも言えないものがあると思っています。学生時代にスキー部だった友人に聞いたところ、『スキーをうまく滑ることは足からの荷重の圧覚と、内耳で感じる回転角加速度(G)を同時に感じて、適切に足元をコントロールすることが本態で、その過程には視覚は補助的な役割と思っています。』ということで、意外と視覚に頼る部分は少なく、視覚障害の方には向いているスポーツということでした。悪天候で視界が悪くてもなんとか滑れることを考えると、確かにと思います。もしお近くに元々、スキーをしていたけれど、眼が見えなくなってしまった止めてしまった方や、初めてでもスキーに行ってみたいという方がいらっしゃいましたら、眼が見えなくてもスキーができることを伝えていただきたいです。そして、この方たちのように眼が見えなくても健常者と同じように(健常者以上に)できることで、僕らも不自由があっても、工夫と努力で乗り越えていかねばと改めて思いました。体験会に参加し、僕自身とても貴重な経験をさせていただき、どうもありがとうございました。

 

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