院長ブログ

難しいレンズ交換

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障2人で、今日の手術は、白内障8件、眼内レンズ交換2件、黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日のレンズ交換は男性と女性と2件ありました。女性の方は10分足らずの手術で終わりましたが、もう一人の男性の方は30分かかりました。

レンズ交換が難しいかどうかのポイントは、まずレンズと水晶体嚢がどれだけくっついて癒着が強いかと水晶体嚢の支え(チン小帯)がしっかりしているかです。それを予測する因子として、水晶体嚢前面(前嚢)の切開部分の混濁と収縮が強いと、癒着が強くチン小帯も弱く、入れ換えが難しいことが多いかと思っています(というか、チン小帯が弱いから、前嚢収縮や前嚢混濁が強く出るのだと思っています)。

男性の方の手術では、前嚢収縮が強いので、そのままではレンズの剥離や前房への脱臼操作でチン小帯に大きな負担をかけてしまうので、まず、収縮した前嚢をハサミで切開し前嚢切開窓を拡げました。最初の白内障の手術の時に前嚢切開を拡げるのは容易なのですが、時間が経った前嚢は硬くなっているので、簡単に引っ張って拡げられず全てをハサミで切開して拡げなければならず、切れ目が入って残ってしまうと、水晶体嚢の大きな損傷につながることもあり、この操作もなかなか注意が必要で難しいものがあるかと思っています。この患者さんでも前嚢切開を拡げ、レンズの癒着は予想通り強く、なんとか剥離し、レンズはうまく取り出せました。しかし、新たなレンズを入れる際に、水晶体嚢の損傷が起きてしまい、水晶体嚢の中への固定はできなそうだったので、そのレンズはまた取り出し、新たに嚢外固定用のレンズを入れ直し、手術を終えました。レンズ交換は癒着が剥がせるかがまず一つのポイントにはなりますが、意外と難しいというか、一番、気を使うところは、レンズを入れる場面だと思っています。通常の白内障手術では、レンズを入れるのはそんな難しいことはないのですが、時間が経ってからの水晶体嚢は元々も水晶体嚢とは性状が変わっていて、進展性が落ち、硬く脆くなっているため、硬いレンズが触れると予想外に損傷を生じてしまうことがあると思っています。癒着を剥がす時は自分で加減しながらできますが、レンズを入れる時は丁寧に行ってもどうしてもある一定の力が加わり、それに耐えられるかどうかの問題になってくるので難しいところと思っています。この患者さんはピントが遠方に合ってしまい、近くにしたいというご希望で、単焦点から単焦点への入れ換えなので、乱視が若干あったのでトーリックレンズを使いたいところではありましたが、ピント自体は近くになってくれると思うので、なんとかよい経過が得られればと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

 

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