今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人で、今日の手術は、白内障15件と黄斑上膜の硝子体手術1件でした。
今日は70代前半の女性の患者さんの緊急の白内障手術がありました。なぜ緊急で白内障の手術かというと、この患者さんは2日前に急性緑内障発作を起こし、発作はひとまず解除されたのですが、いつまた発作を起こすか分からないので、早めの手術をさせていただきました。
この患者さんはまず、脳外科を受診した後に、脳外科の先生から眼科を受診するように言われ、近くの眼科を受診しましたが、『ここではダメだ』と言われ、救急車で他の病院に搬送され、眼圧を下げる点滴をし、瞳孔を縮める点眼を出してもらい、発作自体は解除でき、あとは早めの手術が必要ではありましたが、なかなかすぐの対応が難しいということで、当院に紹介いただきました。
“緑内障”の発作になぜ白内障の手術?という疑問も湧くかもしれませんが、眼の中の水(房水)の出口(隅角)が白内障により圧迫されて閉じてしまい、房水の行き場がなくなって眼がパンパンになり眼圧が上がってしまうのが急性緑内障発作で、白内障で膨化した水晶体を取り除き、薄い眼内レンズに換えてあげることが、その根本的な治療となります。
緑内障発作を起こすような眼は水晶体の支え(チン小帯)が弱くなっていることが多く、通常の白内障手術で終わらず、チン小帯の断裂から水晶体嚢の破損を生じ、硝子体手術やレンズを入れるのに強膜内固定が必要になったりと手術が大変になるおそれがあります。この患者さんでもチン小帯が弱く、カプセルエキスパンダーという補助器具を使用し、超音波で白内障を除去し、眼内レンズを通常通り水晶体嚢の中に入れて終えることができました。ただ、将来的にはチン小帯が今より弱くなり、眼内レンズの偏位を来たす恐れはどうしてもあり、追加の手術が必要になる可能性はありますが、それはその時に考えるしかないですし、ひとまずは無事に一番よい形で手術を終えられてよかったです。あと、もう片方の眼も発作はまだ起こしていませんが、似たり寄ったりの状態でいつ緑内障発作を起こしてもおかしくはないので、早めに白内障の手術を予定したいと思います。
今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m