院長ブログ

脚が残っても

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障2人で、今日の手術は、ICL1人、白内障8件、黄斑上膜の硝子体手術1件、眼内レンズ交換1件でした。

今日の眼内レンズ交換の患者さんは元々、地元仙台のクリニックで右眼の白内障の手術を単焦点レンズで受け、都内のクリニックで多焦点レンズへ入れ換え、レンズのズレがあり、当院で一度、レンズの位置修正を行なった方で、やはり多焦点の見えにくさがあり、今回、単焦点レンズへ入れ換えを行いました。

入っていた多焦点レンズはミニウェルでしたが、ミニウェルはレンズの指示部がリング状に左右に伸びる形状をしており、4つのリングうち1つでリングをまたぐように癒着ができており、これを解除するのがちょっと大変でしたが、フックとスパーテルを使い、癒着を外しなんとかレンズを取り出せ、新しいレンズを入れることができました。前医での入れ換えで残った支持部は取れれば取ってから新しいレンズを入れられればと思いましたが、癒着が強くなかなか外れず、前の残った支持部はそのまま無理をせず新たなレンズを入れました。そのまま手術を終わりにしてもよかったのですが、一度、新しいレンズが入れば、前の支持部をもうちょっといじる余裕は出てくるので、フックと粘弾性物質で剥離を試みたところ、うまく外すことができました。

癒着が強い時はレンズの部分(光学部)と支持部を切離してレンズ交換することがありますが、『脚(支持部)を残しても大丈夫ですか?』と患者さんや他の先生から聞かれることがあります。支持部自体は残しても見え方には影響しませんし、残った支持部を避けてレンズを固定すれば問題がありません。しかし、レンズの固定位置が制限されるため、トーリックレンズ(乱視用レンズ)を使う場合に、固定したい位置に前の支持部があると、その位置にレンズを置けないということが起こります。なので、トーリックレンズを使う場合のみ、前の支持部が残ると支障が出てしまうことがあるということになります。トーリックレンズでも前のレンズと固定の方向が違う場合やトーリックレンズを使わない場合、嚢外固定にする場合などは前のレンズの支持部が残っても問題にはなりません。

今日の患者さんも角膜乱視が少しあり、できればトーリックレンズを使いたかったですが、乱視の程度も大きくはないですし、角膜切開の位置が乱視の方向と一致していたので、切開によって乱視が減る可能性もありましたし、前の支持部を無理に取ろうとして水晶体の支えが外れてしまうことが最も避けたいことでしたので、乱視が残るリスクとレンズが入らなくなるリスクとを考え、後者を優先しました。前のレンズの脚はそのままでもよかったのですが、新たなレンズを入れた後に、それを取り出したのは何故かと言えば、元々はなくてよいものなので、取れるなら取った方がすっきりするかと思ったからです。

術後、患者さんにも、無事、レンズを入れ換えられたことを伝え、喜んでくださいましたが、前の支持部も取れたことを伝えると、更に喜んでくれたので、臨床的にはあまり意味はなくとも、患者さんにとっては意味のあることだったのかなと思うので、取れてよかったです。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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