院長ブログ

眼軸30mm超のレンズ選び

今日は午前のみの外来でした。
手術の申し込みは、白内障5人と眼内レンズ交換1人でした。

今日、白内障の手術の申し込みをいただいた50代の男性の方は右-13D 左-14Dの近視で眼軸(眼の長さ)が右30.33mm 左31.35mmの超長眼軸の方でした。

近視の強い人では眼内レンズも強い度数を使うのかと思われるかもしれませんが、長い眼で網膜上にきちんと焦点を結ぶようにさせる光を曲げるレンズでは、度数は弱いもの(光を曲げる力としては弱いもの)でよいことになります。近視の値が-3とか-5Dくらいで眼軸長が24〜25mmほどなら、まず問題にはならないのですが、もっと長くなると、レンズの度数の一番弱いものでも強すぎて、近視が残ってしまうような問題が出てしまいます。靴や洋服にサイズがあるのと同じで、レンズにも度数の製造範囲があり、多くのレンズは+5.0〜+25.0Dくらいですが、今日の患者さんも一番弱い+5.0Dのレンズを使っても-3Dほどの近視が残ってしまいそうな検査結果になりました。+5Dよりも度数の弱いレンズもありますが、トーリックタイプはないのと、国内承認の多焦点レンズでもこんなに弱い度数のものはありません。

なので、単焦点レンズで近方に合わせるならあまり問題はないのですが、国内承認の多焦点レンズは適応外になってしまいますし、単焦点レンズで遠方に合わせる場合、なかなかぴったり遠くは難しかったり、乱視が残ってしまう可能性があり(角膜乱視がない人は問題になりませんが)、白内障の手術の後に、残った近視や乱視に対してアドオンレンズやレーシックなどの追加の治療が必要になることがあります(同様に、国内承認多焦点レンズも追加治療前提なら使うことはできます)。あとは、自費治療になりますが、海外から輸入するレンズには単焦点のローパワートーリックレンズもありますので、費用がかかっても一度の手術で遠くが見えるようにしたいと思えば、このようなレンズも選択肢になるのかなと思います(多焦点のローパワーレンズも海外レンズなら存在します)。

超強度近視の人はレンズの選択肢が狭くなってしまい、なかなか難しいですが、どのような見え方をしたいのか、費用はどこまでかけられるのか、治療は複数回になってもよいのかをポイントに考えていくとよいかと思います。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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