今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障1人、眼瞼下垂2人、霰粒腫2人(2歳男の子、5歳男の子)、眼内レンズ交換1人でした。
白内障の手術の後、眼内レンズが入っている水晶体の袋(水晶体嚢)の後面(後嚢)に水晶体の細胞が増殖して濁りを作ってしまうのが後発白内障ですが、今日の外来では、他院で後発白内障の治療の後に網膜剥離が起こってしまい、網膜剥離の手術を行った後の経過観察の目的で70代後半の男性の方受診されました。
後発白内障の治療としては、YAGレーザーで後嚢を破くことで濁りを取り除き、視力を改善させる方法が行われます。目薬の麻酔で数分で終わってしまう、外来でそのままできるような簡単な治療ですが、濁りを飛ばすので、レーザー治療の後、しばらく飛蚊症が現れます。このYAGレーザー後の飛蚊症は通常、1か月程度で改善するので大きな問題になることはまずありません。YAGレーザーの問題となる合併症としては、網膜剥離があります。YAGレーザーをして、後嚢を破ると、理論上、硝子体に多少の動きが出ることがあり、その結果として、網膜が牽引され網膜に裂け目ができ網膜剥離が起こってしまう可能性があるということです。しかし、今まで後発白内障のYAGレーザーは僕自身たくさん行ってきましたが、その後に今まで一人も網膜剥離を起こした人はいませんでしたし、他院でYAGレーザーをして当院に来た患者さんでも誰も網膜剥離を起こした人はいませんでした。なので、YAGレーザーの説明書には合併症の欄には網膜剥離とは書いていますが、ほとんど起こることのないことで、余計な心配をさせる必要もないかという気持ちから、詳しく合併症のことを聞きたい人以外には話をしていませんでした。今回、受診された患者さんも、YAGレーザーをした2週間後に網膜剥離が起こったという事実はあるものの、もしかするとYAGレーザーをしていなくとも網膜剥離を起こしていたかもしれず 、YAGレーザーをしたから網膜剥離を起こしたか本当のところは分かりませんが、経過からするとなんらかの影響はあったのではと思われます。それでも滅多に起こることではないので、必要以上に心配して、網膜剥離が怖いからとYAGレーザーをせずに見えにくいままでいることは全くないと思いますが、網膜剥離が起こることもあるということを少しだけ頭の片隅に置いて、経過を見ることが大事かと思いました。これからYAGレーザーを受ける人に余計な心配をさせてしまったらすみません、、、ほとんどの人はYAGレーザーをしても全く問題ないので、あまり心配はしないでいただければと思います。
今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m










