院長ブログ

下垂体腫瘍

見えにくいという症状、視力低下の原因は眼だけにあるとは限りません。

先日、『3日前から左眼が見えにくい』と60代の女性が当院へ初診でいらっしゃったのですが、視力は矯正視力で0.4まで下がっているものの、視力が低下するほどの白内障やその他、緑内障や眼底疾患もありません(視野検査も異常ありませんでした)。ただ唯一、対光反射(眼に光を当てた時の瞳孔が小さくなる反応)の異常があり、眼そのものの異常ではなく、眼と脳をつなぐ視神経に異常があるのでは?と考え、近くの横浜いとうクリニックさまに頭部の検査をお願いしました。

片眼性の視力低下で視神経の炎症かな?と思ったり、視野の異常もなかったので検査しても何もないかもしれないとも思っていたのですが、頭部MRI検査の結果は下垂体腫瘍という診断でした。
横浜いとうクリニックの伊藤先生が女子医大脳外科の天野先生にすぐ連絡をしてくださり、数日のうちに入院、手術の段取りを整えてくださったそうです。(伊藤先生、天野先生、どうもありがとうございました)
天野先生からはその後の経過等で連絡を取らせていただきましたが、かなり急速に進行するタイプの下垂体腫瘍のため、手術をする前の段階で左眼の視力はかなり下がってしまったようですが、下垂体は左右の視神経が交差する場所にあり、その病気は両側の視神経に影響を及ぼすことが多く、手術により右眼の視力が少しでも温存されることを願います。

時々、見えにくい原因が頭部にあるのでは?と頭部の画像検査をお願いすることもあります。正直、結局、頭の中には何も病気がないことの方がずっと多いですが、稀にこのように病気がみつかることもあります。
(実は、今年の初めにも緑内障疑いで受診された50代の男性の患者さまでも下垂体腫瘍がみつかり、天野先生に手術していただきました)

見えにくいと受診して『頭の検査を』というと少し大袈裟な感じもしてしまうかもしれませんが、『大丈夫かと思っていて、実は病気があった』よりは『検査して何も病気が無くてて大丈夫だった』の方がずっとよいと思っています。ですので、もし、検査を勧められた時はどうか検査を受けていただくようお願い致します。

↑下垂体腫瘍のMRI画像

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