院長ブログ

11月18日(木) 今日は緊急手術

今日は1日外来の後、緊急手術が1件ありました。
そのため、午後は予約のみの診療とさせていただき、受診をお断りさせていただいた患者さまにはご迷惑おかけし申し訳ありませんでした。

緊急手術は30歳の女性の裂孔原生網膜剥離の手術でした。
裂孔原生網膜剥離というのは、網膜に穴があいて網膜が眼の壁から剥がれる状態ですが、網膜剥離の手術は硝子体手術かバックリング手術という方法で行います。
網膜剥離は穴が塞がれば復位(剥がれた網膜が元に戻る)訳ですが、眼の内側から硝子体を取ることで穴を塞ぐのが硝子体手術、眼の外側から当て物(バックル)で眼の壁(強膜)を押すことで穴を塞ぐのがバックリング手術です。
この術式の選択は網膜の穴の状態(位置、大きさ、個数)と硝子体の状態(硝子体がしっかり残っているかどうか)で決めるようになります。例えば、網膜の穴が大きかったり、数が多かったり、奥の方にあったりすると硝子体手術の方がやりすいですし、逆に小さな穴が1個、端の方(周辺部)にあるような場合はバックリング手術がしやすいです。
また硝子体は年齢で液化して(溶けてくる)のですが、硝子体がしっかり残っていると、硝子体手術がしにくく、逆に網膜を押し付けるタンポナーデ効果があるため、バックリング手術がより効果的になります。
ということで、この患者さんは年齢的にもお若く、網膜の穴も周辺部に1個だけだったので、バックリング手術を行いました。

網膜剥離の手術は大きな病院で入院で行うことが多いかと思いますが、この患者さんは小さなお子さんがいて入院が難しいということで、当院で日帰りで手術させていただきました。手術自体はうまくいったと思いますが、網膜剥離の手術はちょっと侵襲もあり、術後が辛いので、あまり無理せず過ごしていただければと思います。

今日の緊急手術が終わったのは20時頃で、片付けが終わってみんなが帰るのは21時過ぎでした、、、
大学病院など大きな病院では手術室のスタッフも多く、交代制のところが多いと思いますが、当院のような個人クリニックでは手術室メンバーは固定なので、みんな明日もいつも通りの勤務があります。大学にいた頃は緊急手術は当たり前のようにありましたが、クリニックレベルでの時間外の緊急手術は勤務の関係でもハードルが高い部分もあるかと感じています。でも、今回のようにクリニックでも緊急手術ができるのは、急ぎの治療が必要な患者さんのために頑張ってくれるスタッフがいてくれるからで、本当にありがたいことだと思っています。これからも、そんなスタッフたちと一緒に自分たちのできる限りの診療を一生懸命行なってまいりたいと思っています。そうできる環境も手術が必要な患者さまが来てくださることも本当に幸せなことだと思っています。どうもありがとうございますm(_ _)m

昨日、今日と遅くなってしまったので、明日はなるべくみんな定時で帰ってもらえるように頑張りたいと思います。

↑今日の網膜剥離の患者さまの眼底写真(矢印のことろが網膜の穴です)

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