院長ブログ

多焦点の見えにくさの考え方

今日は午前が外来で午後はまぶたの手術(眼瞼下垂4人、内反症1人)でした。

手術の申し込みは硝子体混濁の硝子体手術が1人でした。

この方は12ヶ月前に両眼の多焦点レンズによる白内障手術を受け、左眼はある程度よく見えているのですが、右眼がどの距離もよく見えないということで『眼内レンズを単焦点に換えられないか?』と千葉県からいらっしゃいました。

多焦点レンズの白内障手術を受けた後に『見えない(見えにくい)』と感じた場合、考えなければいけないのは、

①レンズ同数が合っているか?

②他の病気が影響しているか?

③多焦点レンズが合わない?

3つかと思います。

度数の問題であれば、眼鏡の矯正で視力は上がるので、裸眼の見え方としてはよくなくとも、矯正視力は良好なので、すぐ分かります。

この方は裸眼視力で0.3、矯正視力は乱視を合わせると、0.5まで上がりますが、それでも0.5までなので、度数の問題ではなさそうでした。

他の病気も、例えば、緑内障や黄斑変性などの明らかに視力に影響するような病気は全くありませんでした。しかも、手術を受ける前は右眼の方が見えていたと言うので、尚更、悪い病気はなさそうです。ただ、唯一ある所見は硝子体の混濁がやや目立ちことで、通常は視力に影響することはないくらいですが、多焦点レンズでは軽微な眼の状態が見えにくさに直結する場合もあり、この硝子体の濁りが悪い影響を与えている可能性はあるかと思いました。

多焦点レンズが合わない眼という可能性ももちろんあるかと思いますし、単焦点レンズに換えたら硝子体混濁の見えにくさへの影響は減る可能性(飛蚊症としては強く感じる可能性もあるかと思いますが)はありますが、せっかく入っている多焦点レンズが活かせるなら、その方がメリットがあると思い、まず硝子体手術で濁りを取ってみて視力が改善すれば、そのまま多焦点レンズを使い、もし、症状の改善が乏しければ、次の手で単焦点レンズへの入れ換えをしましょうと方針を立てました。

多焦点レンズの見えにくさはコントラストの低下によるところが大きいと思っていますが、それでも見えにくさを感じない方が多い中で、その原因を断定すること、実際、治療(レンズ交換)へ踏み切るかの判断はとても難しいと思っています。見えにくい原因と思われる要素を一つずつ消し、最終的にレンズそのものに原因があると思われれば、入れ換えたらよいと思います。

ちなみに、多焦点レンズが合わないのに、途中で『後発白内障が見えにくさの原因かもしれない』と言われてレーザー(YAGレーザー)で後嚢切開する治療をされてしまう場合もありますが、後嚢を破いてしまうと、レンズの入れ換えが難しいなってしまったり、使えるレンズが限られたりしてしまうので、YAGレーザーの治療をするかは慎重に考えた方がよいですし、もし、YAGレーザーをするならば、後嚢を切開する部分をできるだけ小さめに丸く開けて、それで症状が改善傾向であれば、その後、穴を拡げることもできますし、症状の改善が得られずやっぱりレンズ交換が必要となっても、なんとか水晶体の袋の中にレンズを収めることもできるかと思うので、レンズ交換をするかもしれない人の後発白内障の治療はこんな風に行なった方がよいと思っています。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m↑多焦点レンズでの見えにくさでいらっしゃった患者さまのレンズの写真。

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