院長ブログ

軸ズレ後のレンズ偏位

今日は午前が外来で午後は手術でした。手術の申し込みは、白内障3人、眼瞼下垂1人、翼状片1人、霰粒腫2人(3歳男の子、72歳男性)、ICL1人でした。

手術は白内障14件と眼内レンズ交換と眼内レンズ偏位のレンズ摘出+眼内レンズ強膜内固定が1件ずつでした。

今日の強膜内固定の患者さまは約2年前に当院で多焦点レンズによる白内障の手術を行った50歳の男性の方です。今回、左眼のレンズ偏位でしたが、乱視を矯正するトーリックレンズを入れていました。

トーリックレンズは『軸』があり、レンズの軸を乱視の軸(強主経線)に合わせることで乱視を弱めることができます。しかし、レンズがめの中で回転しレンズの軸がズレてしまうと、乱視の矯正効果が弱まり、30°ズレると、トーリックレンズの効果はゼロになるとされています。

この患者さまは3焦点レンズのパンオプティクスのトーリックレンズを入れたのですが、その後、軸ズレが起こり、修正をして、またズレて、修正して、、、と計3回行ったのですが、それでも軸ズレしてしまい、結局、違ったタイプの3焦点レンズ(ファインビジョン)に入れ換えたという治療歴がありました。軸ズレ修正やレンズ入れ換えが影響したのか、そもそも、そんなに軸ズレが起こることは滅多になく、特殊な眼の作りだったのか、アトピーもあり、単にアトピーの影響が合ったのか、一つの要因ではなく、それぞれが関与し合ったのか分かりませんが、レンズの支え(チン小帯)が外れ、5月の終わり頃からレンズが傾く眼内レンズ偏位という状態になってしまいました。こうなると、眼に入っているレンズを袋(水晶体嚢)ごと取り出し、新たなレンズを眼の中に固定してくる手術(強膜内固定)が必要になり、今回、この強膜内固定を行いました。

せっかく多焦点レンズが入っていたのですが、強膜内固定になると、基本的にはノントーリック(乱視矯正度数のない)の単焦点レンズを使うことになり、焦点の幅が狭くなってしまいます。トーリックレンズは使えませんが、乱視の軸に合わせた位置で眼に切開を入れる方法(強主経線切開)を行ったので、せめて乱視は少しでも減ってくれればと思います。レンズ自体はきれいに固定できたと思うので、少しでもよい見え方に落ち着いてもらえればと思います。

今日も皆さま、手術お疲れさまでしたm(_ _)m

↑今日、取り出した眼内レンズとCTR。

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