院長ブログ

霰粒腫切開の説明

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が3件(2歳女の子、2歳女の子、64歳女性)ありました。

手術の申し込みは、白内障2人、眼瞼下垂5人、霰粒腫3人(3歳女の子、3歳男の子、5歳男の子)でした。

霰粒腫は頑張って切開しているのですが、どんどん患者さまが来てくださり、申し訳ないのですが、なかなか、処置が追いつけません、、、

霰粒腫の切開ご希望の患者さま、というか、本人は小さなお子さまが多いので、お父さまお母さまへになることも多いですが、その説明を載せたいと思います。

まぶたの縁にはマイボーム腺という脂を分泌する構造があります。この腺が詰まるとまぶたの中に脂が溜まり、炎症を起します。最初はまぶたが腫れ、ものもらいのようになりますが、抗菌薬や抗炎症薬の点眼を使うと通常、炎症は治ります。しかし、溜まった脂が分解されると、肉芽腫といってドロっとした肉の塊のようなしこりがまぶたに残ってしまい、この状態が『霰粒腫(さんりゅうしゅ)』です。

 霰粒腫は基本的に点眼や軟膏で治るものではなく(感染や炎症を防ぐために使うこともあります)、治すとなると切開が必要になります。ただ、霰粒腫があれば必ず切開しないといけないものでもなく、小さく目立たないものであれば、きれいに自然消退することもあります。しかし、しこりが大きかったり、まぶたの表面に出てきて赤くなったり、まぶたの縁にできたりすると、まぶたの形が変形してしまう場合や表面にひどい跡を残してしまう場合もあるため、切開による治療を考える必要があります。

 切開は大人の場合は、通常、まぶたへの注射の局所麻酔で10分程度の処置になりますが、小さな子にできることも多く、無麻酔や全身麻酔で行う施設もあります。当院では鎮静剤の内服と鼻から吸う笑気麻酔を使った上で局所麻酔をし切開しています(生後数カ月でも可能です)。この方法で全く泣かずに切開できる子も半分くらいいますが、途中で気づいてしまうと怖くなって泣いてしまう子も半分くらいです。

まぶたのできものが治らなくてお困りの場合は切開を考えるとよいと思います。

(タウンニュース青葉区・都筑区・宮前区版630日号 目のお悩みQ &Aから一部転載しています)

小さな子どもの霰粒腫は『切開できない』『目薬で治療するしかない』『切開するなら全身麻酔』とか『いつかは治る』なんて言われることがありますが、いつまで経っても治らないと言っていらっしゃる患者さまが後を絶ちません。

霰粒腫はあればなんでもかんでも切開が必要というものでもありませんが、切開した方がよい霰粒腫もあると思って僕は治療しています。

切開すると、跡が残るのではと心配される方もいらっしゃいますが、確かに切開の跡が残ることや、二重の幅やまぶたの形に変化を残すことは確かにあります。しかし、霰粒腫をそのままにしてももっとひどい跡や二重やまぶたの形を変えてしまう場合もあります。そうなってしまうよりは、きちんと切開した方がずっときれいになると思っています。逆に言うと、そのままにすると、悪い影響を残しそうな霰粒腫は切開すべき、切開の適応になると考えています。

あくまで僕の考えですが、霰粒腫でお困りの方に少しでも参考になればと思います。

↑今日、切開申し込みになった男の子の霰粒腫の写真。

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