院長ブログ

眼内レンズの傾き

今日は一日外来で夕方に霰粒腫の切開が1人(2歳女の子)でした。

手術の申し込みは、白内障3人、眼瞼下垂1人、霰粒腫1人(55歳女性)でした。

外来では他院で以前、単焦点レンズの白内障の手術を受け、術後より、見えにくいので状態を診て欲しいと歳の女性の方がいらっしゃいました。症状を聞くと、右眼のみ、『はっきり見えない』『物がブレて見える』『夜、灯りの下に光の線が広がって見える』といった症状があり、眼の中を見ると、眼内レンズが水平方向にも前後方向にもズレて入っていました。一般的な眼内レンズには支えの部分(支持部)が2つあり、通常、この支えをきちんと水晶体嚢の中に収めてくるのですが(嚢内固定)、おそらく、片方の支えは水晶体嚢の中に、もう片方は水晶体嚢の外にあるのが原因と思われました。嚢外固定となっている部分の水晶体嚢は前後で癒着が強くなって剥がすことが難しいので、もし治療するとすれば、今のレンズを取り出し、新たなレンズを水晶体嚢の前面に固定して(嚢外固定)、真っ直ぐに光が通るようにすることで、見え方はクリアにできるかと思われました。

当たり前ですが、度数のあるレンズは水平方向のズレであれば、それほど支障がなくとも、前後方向に斜めに傾くと、光の入り方にも角度が生じ、像が乱れて見えにくさが出てしまいます。微細なズレで症状が出てくる場合はやむを得ない部分もありますが、この方のように一見、ちゃんと眼の中にレンズが入っていても(前の先生からは『ちゃんと入っている』と言われていたそうです、、、)、対処すべき原因があるケースも存在するかと思います。

今日の患者さまは、『原因が分かってよかった』とおっしゃり、『この見え方でも生活はできるから』と今回は治療は予定しませんでした。程度が強くなく、そのまま過ごせるなら、それでよいと思いますし、なんとか改善したいと思えば、手術を考えたらよいと思います。いずれにせよ、原因がはっきり分かり、気持ち的にスッキリしていただけたならよかったです。

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