院長ブログ

下方の網膜剥離

今日は午前が外来で午後は手術でした。

手術の申し込みは、白内障4人、緊急の硝子体手術1人、霰粒腫1人(4歳男の子)でした。
今日の手術は、白内障16件、黄斑上膜の硝子体手術1件に網膜剥離の緊急硝子体手術が1件でした。

網膜剥離の方は40代後半の男性で、約1週間前から飛蚊症の症状があり、34日前から視野が欠けるように感じたため、近くの眼科を受診され、網膜剥離と診断を受け手術が必要と判断され、日帰り手術が希望だったため、最初、他の眼科を紹介されたのですが、そちらの先生が学会で不在のため、同じく日帰りの硝子体手術を行なっている当院を紹介され、受診してくださったそうです。

網膜に穴があくことが原因で起こる裂孔原性網膜剥離の手術は大きく2つあり、眼の外側に当て物(バックル)を当て外側から穴を塞ぐバックリング手術と内側から硝子体を切除して網膜を元に戻す硝子体手術があります。網膜剥離の起こりやすい年齢(好発年齢)も2つあり、比較的若い30歳前後と、5060代とされています。30歳前後の網膜剥離は、近視が強い人で眼の端の方で、網膜が薄く弱くなっている部分が年齢の変化で穴になってしまうこと(萎縮円孔)で起こり、硝子体がしっかりしているので、バックリング手術で眼の外側から穴の部分にバックルを当て硝子体と挟んで押さえてあげることで、剥がれた網膜を元に戻すことができ、バックリング手術が適応になることが多いです。一方、5060代の網膜剥離では、硝子体が液化して、網膜から剥がれてくる(硝子体剥離)際に、網膜とくっつきの強い部分が引っ張られ、網膜が裂けて穴になってしまうことで起こるため、硝子体を切除し、牽引を外し、眼の中を空気に置き換え、網膜の下の水を抜き、ガスを入れてくるような硝子体手術が適応になることが多いかと思います。

今回の患者さまは40代で比較的若めでしたが、硝子体剥離が起こっており、網膜の穴が硝子体の牽引であいていると思われたため、硝子体手術を行うこととしました。手術は、硝子体を切除し、網膜を元に戻して、穴の周りをレーザーで固め、最後には眼の中をガスで置き換えて、予定の内容でうまく終えることができました。ただ、この方の網膜の穴は眼の中の下の方にあり、ガスは少しずつ水に置き換わってくるのですが、上方の穴であれば、ガスが当たる時間がより長く治りやすいのですが、下方では穴の部分が割とすぐ水の層になってしまうので、また網膜が剥がれてしまう可能性が上方の網膜剥離よりは高くなってしまうので、術後にしっかりうつ伏せをしていただき、剥がれた網膜の部分にガスを当てられるようにとお願いしました。なんとか再発なく一度で治ってくれればと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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