院長ブログ

子どもの霰粒腫切開の大変さ

今日は午前が外来で午後は手術でした。

手術の申し込みは、白内障1人、今日の手術は、白内障14件、霰粒腫1人(3歳女の子)、眼瞼下垂1人でした。

今日はちょっと考えることがありました。

それは子どもの霰粒腫の切開をどうしようかということです。

正直、子どもの霰粒腫の切開を行うことは僕らも決して楽ではありません。まず、診察でも、霰粒腫という病気の説明、切開治療のメリットとデメリット、当院で行っている切開方法について説明し、切開のご希望があれば、切開の予定を立てます。待ってもよい霰粒腫ならば、順番で予約を入れますが、病状的に急ぎの方が望ましい場合は、手術の枠が空いていなくとも、どこかで手術の枠を無理やり作らねばならないこともあります。そして、切開当日は、麻酔の飲み薬を準備し、タイミングを見ながら内服を指示し、いざ切開の時には、大人しく泣かずに切開できることもあれば、どうしても泣いて動いてしまうこともあるため、常時34人のスタッフに手術室に入ってもらいサポートしてもらいながら切開しています。実際の手術時間は1か所10分程度ですが、手術室に入ってから、処置をして、終わって出るまでに約20分の枠を使っています。白内障の手術は一人10分の枠で、倍の時間を使い、白内障の手術よりもずっと多くの人手も労力も要します。その上、診療報酬は白内障手術の1/10程度です。医療を経済や経営という点から考えると、白内障手術の1/20程の収益と考えられますので、バカみたいなことしてるなと思われると思います。人手もかかり点数の低い手術をなぜやっているか、それは霰粒腫ができてかわいそうな子どもと悩んでいるご両親が本当に困っていると思うからです。全身麻酔で行う施設はあっても、局所麻酔で霰粒腫の切開をしている施設はとても少ないので、局所麻酔で切開をしたいと考えている方に少しでも役に立てればと思って対応を行っております。

遠方からの患者さまも多く、簡単に来院できない方もいらっしゃり、霰粒腫の写真をメールで送っていただいて、状態を確認して、初診当日に切開できるように日程調整を行うような対応もしております。しかし、確かに近くはないかもしれませんが、県内や都内と受診可能な距離にもかかわらず、遠いからと初診当日の切開を希望される方もいらっしゃり(逆に関西方面からでも一度、診察にいらっしゃり、後日、改めて切開に来てくださった方もいらっしゃいます)、そのような方の中には、直前や当日のキャンセルされる方もいらっしゃいます。もちろん、霰粒腫が小さくなり、切開しなくてもよいケースもありますので、予約したから必ず切開しないといけないということは全くありませんが、キャンセル待ちをされている方に順番を回すためにも、変わりがあってキャンセルする場合は早めに知らせていただくようにお願いしています。患者さまのためと思ってやってきたつもりですが、最近、あまりにも自分勝手と感じざるを得ない方もいらっしゃり、今後、メールでの対応は控えようかとも考えています。

お子さまの切開については、ご両親は心配な気持ちも大きいと思いますので、ナイーブになっている方もいらっしゃると思いますが、早く切開して欲しいというご希望や受診もしていない状況での判断などは限界があります。僕もスタッフも足りないと思われる対応はあるかもしれませんが、希望される少しでも多くの患者さまがスムーズに治療を受けられるように精一杯対応しているつもりです。ご不満な点などもあるかと思いますし、何か疑問や不安があれば、それを伝えていただくことは必要なことではありますが時々、強い口調の方もいらっしゃり、十分なコミニュケーションが取れなくなってしまうこともあります。当然、そうなると適切な医療が行えなくなってしまいます。もしご不安やご意見などがありましたら、どうか冷静にお伝えくださいますようお願いします。

長くなってしまい、すみませんでしたが、霰粒腫の切開で受診を考える際には、どうかこのような背景もご理解いただき、その上で、当院で治療を受けたいと思った方にお越しいただければと思います。もしかすると、今後、子どもの霰粒腫の切開を続けていくことが困難になってしまうかもしれないという気持ちがあったので、書かせていただきました。ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

 

TOPへ