院長ブログ

後嚢研磨のPCR

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障1人と黄斑上膜の硝子体手術1人でした。
今日の手術は、白内障17件と黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

白内障の手術では、水晶体の濁りを取り除きますが、水晶体の袋(水晶体嚢)には水晶体上皮細胞が多少は残り、この細胞が術後、増殖してくると、水晶体嚢の後面の濁りを生じ、また白内障のようなかすんだ見えにくさを来たすことがあり、これが後発白内障です。

後発白内障は多かれ少なかれ、誰にも起こってきますが、もし後発白内障が強く出てきても、また白内障の手術を行う訳ではなく、YAGレーザーというレーザーで簡単に濁りを取り治療することが可能です。なので、そんなに心配することではないのですが、なるべく後発白内障を出したくないと思いながら手術をしています。後発白内障がなるべく出ないようにする努力として、IAという濁りを取る吸引の器具で水晶体嚢をできるだけきれいに磨く後嚢研磨を行っています。

しかし、今日は46歳の女性の患者さまの手術で、順調に白内障の濁りを取った後、いつも通り、後嚢研磨をしていたところ、後嚢に裂け目ができて後嚢破損(PCR)という合併症を起こしてしまいました。裂け目から硝子体が出てきてしまったので、硝子体を取る処置(A-Vit)が必要になってしまいましたが、眼内レンズは水晶体嚢の中に予定通り、挿入固定し手術を終えました。

よりよい結果を求めて患者さまにとって良かれと思ってしていることが結果的によくないことを引き起こしてしまうこともあるので、難しいところですが、まずは安全を確保しながらより精度の高い手術を心掛けていきたいと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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