院長ブログ

単焦点眼を多焦点にするには

今日は午前のみの外来で、手術の申し込みは、白内障3人、霰粒腫4人(2歳女の子、5歳男の子、25歳女性、44歳男性)、アドオンレンズ1人でした。

今日、外来を受診された60代後半の男性の患者さまは、5年前に右眼の白内障手術を受け、元々、近視が強かったため、単焦点レンズで近方30cmに合わせたそうです。しかし、不自由があり『やっぱり多焦点にすればよかった』という思いから、他のクリニックで多焦点レンズへの入れ換えを目指し手術を受けたのですが、『癒着が強くて手術途中で断念』し当院へいらっしゃいました。今日、診させていただき、レンズ交換もできなくはないように思いましたが、レンズの入れ換えで今の状況より悪くするのは避けたいというのはとても大事なことで、無理そうなら、途中で撤退することも必要な考えで、僕もレンズ交換する患者さまには事前にそう話して手術しています(今のところは全ての患者さまでレンズは取り出せていますが)。

特に今回の患者さまは、今入っているレンズが悪い訳ではなく、今の見え方を遠方も近方も見えるように変えたいということが一番の希望ですので、レンズを必ずしも入れ換える必要はなく、今のレンズはそのままにもう一枚多焦点用のレンズを加えるアドオンレンズという治療の方が向いているように考えられました。

この患者さまのように時間が経ってからのレンズの入れ換えは難渋することがあり、レンズが入れ換えられたとしても、レンズ計算がズレたり、乱視が残ってしまったり、術後の見え方の精度が下がってしまう可能性はどうしてもあるかと思っています。一方、アドオンレンズは手術自体のリスクや侵襲はかなり少なく、時間が経っているからレンズ計算の精度が下がるということもありません。それに、万が一、入れたアドオンレンズでの見え方が合わない場合は、レンズを取り出し、元の見え方に戻すことも容易です。アドオンレンズのマイナス面としては完全自費診療になりますので、治療費の負担がやや大きいことですが、レンズ交換も保険適応となる例は限られており、費用面ではあまり変わらないかと思います。

ということで、この患者さまはアドオンレンズで多焦点の見え方を目指すこととなりました。白内障の術後の見え方でやっぱりこうしたかったと後悔していらっしゃる方も時々、見受けますが、いくつか方法はありますので、もしよくしたいというお気持ちがあれば、治療を考えるとよいと思います。

今週も皆さま、お疲れ様でしたm(_ _)m

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