院長ブログ

愛知からの霰粒腫

今日は午前は外来、午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障2人と霰粒腫1人(33歳女性)でした。
今日の手術は、眼瞼下垂3人、霰粒腫4人(4歳女の子、6歳女の子、10歳女の子、33歳女性)でした。

今日の霰粒腫の切開の4人中半分の2名は愛知県(高浜市と豊橋市)からの患者さまでした。

一人は小さな女の子で、1年以上前から左の下まぶたに霰粒腫ができ、地元の眼科を4軒受診され、点眼や軟膏で加療されたそうですが、治らずに、当院で切開を希望され、いらっしゃいました。

もう一人は成人女性の方ですが、お近くの眼科を受診され、霰粒腫のしこりが大きくなるため切開の相談をしたところ、『完全に取ることは難しく、しこりは残ったままで、傷跡が1本残るだけの可能性もある』と言われ、薬物治療を選択したものの、やはりしこりが目立つため、切開の可能性をもう一度考え、当院に相談をいただき、今日、切開させていただきました。

確かに霰粒腫はきれいに完全に取り除くことは難しく、残ってしまう可能性や完全に取り除いたとしても、切開の後にまた脂が溜まり霰粒腫ができてしまう可能性もあります。しかし、だからといって、切開をすべきでないということではないですし、そのような可能性があるとしても、一度の切開ですんなり治っいくケースがずっと多いです。“再発するから切開しない”ではなく、再発する可能性はあるが、必要な霰粒腫は切開すべきですし、再発してしまった場合は、必要に応じて、再度の切開を行えばよいだけのことだと考えています(もちろん、できるだけ一度で治るようにと思って切開していますが)。切開すれば、当然、切開のキズはできますが、通常、きれいに治っていきますし、霰粒腫をそのまま放置していても、切開のキズよりずっとひどい跡が残ってしまうこともあります。切開すればキズができるのは当然ですが、キズはなるべく目立たないように、きれいに治るように切開しています。その上で、切開した方がよい霰粒腫は切開すべきですし、切開しなくてよい霰粒腫はそのまま様子を見て(経過観察)もよいと思っています。経過観察というのは、経過を見ながら必要に応じて治療を行うことですが、切開をする選択肢のない霰粒腫の経過観察は、それは経過観察ではなく、ちょっとキツい言い方になってしまうかもしれませんが、それは、ただの“放置”だと思います。

霰粒腫はよくある病気ですが、今日の患者さまのように、愛知県からわざわざ神奈川まで治療を受けに来てくださっているように、なかなか適切に対応してもらえていない状況があるように思います。霰粒腫に限りませんが、患者さまがもっと負担なく、近くで適切な治療が受けられるようになるといいなと思います。

でも、愛知県からわざわざ来てくださり、大変だったと思いますが、ありがとうございました。その気持ちに応えられるように、できる限りの治療はしたつもりですが、なんとかきれいに治ってくれるといいなと思います。

霰粒腫でなかなか治らないと相談を受ける方から、『前の先生からこう言われたのですが』とよく質問されることがあるので、僕の答えをまとめておきます。

・自然と治るから→全てが自然と治るものではない
・大きいと治るのにだいぶかかる→待てば必ずよくなるものではありません
・薬は効きにくい→薬でよくなるものではない(炎症や感染を抑えるために使うことはある)
・子どもだから切開はできない→子どもでも大人でも切開した方がよい霰粒腫は切開が必要
・切開するとキズができる→当然、キズはできますが、適切な時期に適切に切開すれば、基本的にはきりになっていくし、切開せずに残した方が悪い跡になることもある

あくまで僕の考えですが、ご参考にしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

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