院長ブログ

狭隅角の白内障手術

今日は一日外来でした。
手術の申し込みは、白内障7人、眼瞼下垂2人、霰粒腫3人(2歳女の子、10歳女の子、51歳女性)、硝子体手術1人でした。

今日の外来では、“狭隅角”の方が2名いらっしゃいました。狭隅角というのは、角膜と虹彩の付け根からなる“隅角”という場所が狭い状態で、ここが狭いと何が悪いかというと、眼の中には“房水”という水が循環していますが、隅角の奥に“線維柱帯”というプールの排水溝のような構造があり、房水が眼の外に排出されていくのですが、隅角が狭いと、何かの拍子に閉塞してしまい、房水の行き場がなくなってしまい、眼の中が水でパンパンになってしまい眼圧が急激に高度に上昇してしまう“急性緑内障発作”という病態を引き起こしてしまう心配があることです。

この緑内障発作を起こした時の治療や予防的な治療は、レーザーで虹彩に穴を開けるレーザー虹彩切開術(LI)か、水晶体を取り除き、薄い人工のレンズに変える白内障の手術をするかになります。緑内障発作を起こしてしまい角膜の浮腫が引かずにレーザーができない場合は白内障手術をするしかありませんが、予防的な治療では、どちらでないといけないことはないかと思います。ただ、LIをしても必ず発作を防げるものでもないことと、LIをするとその後の白内障手術がしにくくなること、白内障の手術はいずれほとんどの人が必要となることから、予防の治療としても基本は白内障の手術と僕は考えています。

ただ、急性緑内障発作を起こしやすい眼は遠視で裸眼の視力がよいことが多く、白内障の手術を受けることに結構な抵抗感を感じることもあるかと思います。リスクをどう評価し、どう考えるかですが、いつ緑内障発作という爆弾が破裂するか分からない状況で過ごすか、いずれ行うことになる白内障手術を少し早めに受けるだけか、どちらがよいかよく考えて答えを出すことが大事かと思います。

TOPへ