院長ブログ

眼内レンズ偏位

今日は午前のみの外来でした。手術の申し込みは、眼内レンズ偏位のレンズ摘出+強膜内固定が1人でした。

白内障の手術では、通常、眼内レンズを水晶体の袋(水晶体嚢)の中に入れて終えてきますが、水晶体嚢はチン小帯という無数の細い線維状の組織で眼の壁に固定されています。このチン小帯は体質的に弱い方もいますし、外傷や手術の侵襲が強くても弱くなってしまうこともありますが、おそらく、一番、影響が出やすいのはアトピーだと思います。アトピーのコントロールがよくないと、眼の痒みも強く、眼を擦ったり、叩いたりしてしまうことが、チン小帯の脆弱化を招いてしまうとされています。このチン小帯が弱くなってしまうと、水晶体嚢が眼の壁から外れてしまい、レンズがズレてきてしまうことがあり、『眼内レンズ偏位』という状態です。ちなみに、硝子体がしっかりしていれば、レンズがズレても眼の前の方に留まってくれますが、高齢で硝子体が液化していたり、硝子体手術後では、硝子体側のレンズの支えも無いため、眼の奥の硝子体腔にレンズが落ち込む『眼内レンズ落下』という状態になってしまうこともあります。

今日の患者さまは40代半ばですが、アトピーがあり、白内障手術も若い時にされていて、10年くらいして、今回、レンズが偏位してしましました。『レンズがズレているかもしれない』といらっしゃいましたが、実際にその通りでした(『レンズがズレたかもしれない』と心配していらしゃる方も結構多いですが、実際にズレていることは少ないです、、、)。

レンズがズレてしまうと、当然、見え方も悪化しますし、レンズ落下になってしまうと手術が余計大変になるので、早めにレンズを取り出し、新たなレンズを眼の壁に固定する強膜内固定を予定させていただきました。

レンズがズレた場合の症状は、基本的に痛みや充血などは出ませんが(眼の前のスペースにズレるとこのような症状が出ることはありますが)、レンズの位置が不安定になるので、見える時と見えにくい時があり、特に起きている時と横になった時で見え方が違うと感じることが多いかと思います。レンズのズレが大きくなればなるほど、見え方は悪くなりますが、ちょっとズレただけではそう極端に悪化するものではなく(多焦点レンズだとそうでもないですが)、レンズ落下になると、急にピントが合わないぼやけた見え方になります(強度近視の方はそうでもないこともあります)ので、参考にしていただければと思います。

あと、手術申し込みではありませんでしたが、眼内レンズ交換の相談の患者さまもいらっしゃいました。今月の初めに白内障手術を受け、『元々、強度近視でピントを近くにした方がよいと担当の先生から言われ、近くにしたら思ったより遠くが見えなくて』レンズのピントを遠くにできないかということでした。担当の先生にも相談したそうですが、『近視が強い人は近くに合わせるもの』『遠くが見えないのは仕方ない』と言われ、レンズ交換の相談にも乗ってもらえなかったようです。昔は近視のひとは近くにというのがスタンダードでしたが、今はそんなこともないと思いますし(確かに遠くに合わせて近くが見えなくて困る方もいらっしゃいますが)、思ったような見え方でない場合は、『仕方ない』で済まされるのは、ちょっとおかしいと個人的には思います。ということで、レンズ交換が希望であればしますよとお伝えしました。ただ、術直後ですので、時間と共に度数がちょっと変化したり、見え方の慣れが出てきて、不自由や違和感が減ることもあるので、次回、1ヶ月後にまた診させていただき、どうするか決めましょうとさせていただきました。

今週はなんだか忙しい1週間でした。しっかり休んでまた来週から頑張ります。

今週も1週間、どうもありがとうございましたm(_ _)m

↑開業3周年で作ったノベルティのポーチ。残数僅かですが、、、

TOPへ