院長ブログ

あっという間のIOL落下

今日は一日外来でした。

手術の申し込みは、白内障6人、眼瞼下垂1人、眼内レンズ落下の硝子体手術1人、霰粒腫3人(10か月男の子、4歳男の子、54歳男性)でした。

白内障の手術では、眼内レンズを水晶体の袋(水晶体嚢)の中に入れてきます。水晶体嚢はチン小帯という細い線維で眼の壁に固定されています。このチン小帯が弱くなってしまい、レンズがズレてしまった状態が眼内レンズ偏位です。眼内レンズ偏位が起こると、見えにくくなりますが、大きくズレなければ、極端に見えにくい訳でもないですし、レンズが動く場合、位置がよい時はしっかり見えてくれていることもあります。通常、悪化するとしても、少しずつですが、それは眼内レンズの後ろ側には硝子体があり、この硝子体が抑えの役割をしてくれることで、急激に大きくズレるのを防いでくれています。

しかし、今日いらした患者さまは、見え方がおかしいと自覚するようになって、数日のうちにかなり見えにくくなってしまい、他の眼科を受診して、眼内レンズが眼の奥の方に落ちてしまっている眼内レンズ落下と診断されました。普通はレンズがズレ始めてからある程度の時間的猶予があることが多いですが、この方のようにあれよあれよという間にレンズが落ちてしまうこともあります。なぜ、このような経過だったかというと、この方は10年前に網膜剥離で手術をしていて、その時に硝子体を取ってしまっていたので、レンズを後ろ側から抑える力がなく、そのままレンズがずとんと眼の奥に落ちてしまったという訳です。

レンズを拾い上げるのは一手間かかりますが、硝子体はきれいに取られているようですので、古いレンズは取り出して、新たなレンズを眼の壁に固定する強膜内固定の手術を予定させていただきました。

硝子体手術を受けていると、このように眼内レンズ偏位からすぐにレンズ落下になってしまったり、他の病気では網膜剥離でも進行が速いこともありますので、何か気になる症状があった時は、早めに受診することが大切だと思います。

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