院長ブログ

多焦点予定の後嚢破損

今日は一日外来でした。

手術の申し込みは、白内障4人、眼瞼下垂1人、硝子体出血の硝子体手術1人、眼内レンズ交換1人、霰粒腫3人(1歳男の子、37歳女性、55歳男性)でした。

昨日の手術では最初の方で後嚢破損が起こってしまい、手術が長くなってしまい、申し訳ありませんでした。また、その後の患者さまも予定がずれ込んでしまい、ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。

後嚢破損というのは、水晶体の表面の透明な膜の後面に穴があいてしまう状態で、これが起きると、白内障の濁りが眼の奥(硝子体側)に落ち込んでしまったり、予定のレンズが使えなかったり、出てきた硝子体を切除する追加の処置が必要になったりと、いくつか問題が出てきてしまうことがあります。ただ、落ちた白内障の濁りや、出てきた硝子体については、場合によっては追加の処置や手術が必要になってしまうことはあるものの、対応策があり、ある意味問題にはならないで済ませることが可能です。一番、問題になるのは、予定のレンズが使えない状況になってしまうことで、乱視用のトーリックレンズや多焦点レンズを断念せねばならない状況もあります。後嚢の穴が大きくなってしまうと、水晶体嚢の中のレンズを入れることができなくなってしまうこともあり、このようなケースでは、水晶体嚢の前面にレンズを乗せる嚢外固定でレンズを入れなければならなくなってしまうことがあります。この嚢外固定を行うときは、嚢外固定に適した“3ピースレンズを使う必要がありますが、このタイプのレンズにはトーリックレンズはなく、多焦点も古い2焦点タイプのもののみで、3焦点やEDOF型(焦点深度拡張型)はなく、希望のレンズが使えない事態になってしまいます。

今回の患者さまでも多焦点レンズを予定していたので、なんとか入れたいと考え、なんとか後嚢の穴の拡大を防ぎ、水晶体嚢の中に予定の多焦点レンズを入れることができてよかったです。硝子体の脱出があり、その処理で少し時間はかかったのと、水晶体の小さな濁りが硝子体腔に少し落ち込んだので、飛蚊症の症状がしばらく続かと思いますが、なにはともあれ、予定の多焦点レンズを眼の中に入れて手術を終えられたことはよかったです。

あと、後嚢破損の後に網膜剥離が起こることがあるので、しっかり経過を見ていきたいと思います。

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