院長ブログ

緑内障発作LI後の白内障手術

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障5人、今日の手術は、白内障17件、黄斑上膜の硝子体手術1件でした。

今日の手術では、先月、緑内障発作を起こし、大学病院でレーザー虹彩切開術(LI)の治療を受けた60代後半の女性の白内障の手術がありました。このような方の眼の白内障手術は結構、大変なことが多く、今日の手術でも30分くらいかかりました。緑内障発作を起こすような眼は、水晶体を支える“チン小帯”が弱くなっていることが多く、LIをすることでチン小帯によりダメージが出るとされています。そのため、角膜と虹彩の間のスペース“前房”の中の水(前房水)が弱いチン小帯を通って後ろ側(硝子体側)に回って、前房が狭くなってしまい、眼の中に器具を入れることすら難しく、まず、強膜越しに針を刺し、硝子体液を吸い出し、圧を下げることでようやく前房内の操作ができるようになりました。チン小帯に負担をかけないように、セッシを使って前嚢切開(CCC)を行い、水晶体を超音波で破砕吸引する操作(US)も、そのまま行うとチン小帯が耐えられず水晶体嚢が残せないと予想されたので、CCCの縁に細いフック状の器具“カプセルエキスパンダー”をかけ、水晶体嚢を支えながら、白内障を取り除きました。その後は、水晶体嚢の形状を術後もなるべくきれいに保つために細いリング(CTR;水晶体嚢拡張リング)を入れてから、眼内レンズを挿入し手術を終えました。このカプセルエキスパンダーは僕が昭和大学藤が丘にいた時にご指導いただいた谷口教授が開発した器具で、シンプルな構造で、チン小帯が弱い難症例白内障の水晶体嚢を外側から支え、US操作を可能とする、理に適ったとても有用な器具だと思っています。僕は幸運なことに、谷口教授がカプセルエキスパンダーをお使いになる手術をたくさん見させていただきましたが、難しい白内障でも普通の白内障とそう変わらない時間で、何事もなかったかのようなきれいな状態で終えられていたことをよく覚えています。谷口教授のように他の通常の白内障の時と同じような時間ではなかなか終えられず、『まだまだ修行が足りん』と言われそうな気もしますが、まずは何より白内障の濁りをきれいに取り除き、予定した眼内レンズを入れて終えられるような手術をしたいと思っています。カプセルエキスパンダーを使う度に、谷口教授が僕の手術を見ているような気持ちになり、ありがたいことだと思うと同時に、これからももっと頑張ろうと思えます。こう思える教授に眼科医として、手術を教えていただけたことは本当にありがたいことだと思っています。なので、これからも頑張ります!

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

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