院長ブログ

1ピース嚢外固定後の緑内障

今日は午前が外来で午後は手術でした。
手術の申し込みは、白内障3人、眼内レンズ交換1人、霰粒腫1人(32歳女性)、今日の手術は、白内障8件、硝子体手術2件(硝子体混濁、硝子体出血)、眼内レンズ交換1件でした。

今日、眼内レンズ交換を予定させていただいたのは50代後半の男性で、約2年前に当院で眼内レンズ交換を行った方で、裸眼遠方視力が弱かったため、通常の単焦点レンズをアイハンスへ換え、後発白内障のYAGレーザー切開後で嚢内固定が難しく、嚢外固定で挿入していました。アイハンスなど現在主流のレンズの形状は“ワンピースレンズ”でレンズの本体(光学部)と支えの部分(支持部)が一体型になっています。一方、光学部と支持部が別の素材で組み合わせて作られる“スリーピースレンズ”もありますが、こちらは支持部が細いため、水晶体嚢の中にレンズを入れる嚢内固定だけでなく、水晶体嚢の外側にレンズを入れる“嚢外固定”でも使用可能なレンズになります。アイハンスのようなワンピースタイプは嚢外固定には本来、適応外となりますが、患者さまの希望もあり、リスクについて十分説明した上で、嚢外固定で使用させていただきました。術後しばらくは問題なかったのですが、今回、問題となってしまったのは、眼圧上昇で、元々、緑内障があったものの10台前半だった眼圧が20台中盤となり、緑内障も進行していまいました。眼圧が上がる機序としては、厚い支持部により、隅角が圧迫される可能性と、虹彩との接触で、虹彩色素が飛び、線維柱帯に目詰まりを起こし、眼圧が高くなってしまったと思われます。そのため、レンズをスリーピースに換え、同時に、線維柱帯切開(トラベクロトミー)を加え、眼圧が下がるような処置を一緒に行う手術を予定させていただきました。ただ、この手術で眼圧が十分下がらない場合は、線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)を追加で行う必要があるかもしれないと話させていただきました。アイハンスでの見え方がよかっただけに、若干、粘り過ぎてしまったのが反省点となってしまいましたが、眼圧を下げ、今の視野を少しでも残せるような手術ができればと思います。

今日も手術、お疲れ様でしたm(_ _)m

TOPへ